ルネサス エレクトロニクスは12月20日、デジタルスチルカメラ(DSC)やスマートフォンなどの携帯機器のリチウムイオンバッテリー向けとして、降圧DC/DCコンバータを内蔵し2Aの電流充電を実現する、リチウムイオン充電制御IC「R2A20057BM」を発表した。

DSCやスマートフォンなどのモバイル機器の高機能化により、搭載されるリチウムイオン電池が大型化し、その電池を充電する電流が増加している。しかし、大電流充電を行うためには、充電システムに使用するパワーMOSFETや受動部品などの搭載数が増加する他、大電流化に伴い充電ICの発熱量が大きくなるため、大型の放熱機構が必要となる。このため、小型化を求められるモバイル機器にとっては実装面積低減が課題となっていた。

同製品はこうした課題を解決するため、複数のパワーMOSFETと充電制御回路を1チップ化したのに加え、ウェハレベルパッケージを使用することで実装面積を低減したほか、高効率降圧DC/DCコンバータを搭載したによる発熱の抑制、ならびに大電流充電を実現した。

具体的には、高耐圧微細化ウェハプロセスおよびウェハレベルパッケージ(25ピンWL-BGA、0.4mmピッチ)の採用により、2.47mm角の世界最小クラスの小型チップサイズを実現。また2MHzの高周波降圧DC/DCコンバータを搭載したことにより、外付けに必要なインダクタに小型な積層型を使用可能とした。さらに入力耐圧が25Vと高いのに加え、過電圧保護回路を内蔵したことにより、外付けの保護回路を不要とし、約62%のチップ面積小型化を実現した。

加えて、USB充電の規格である、Battery Charging 1.2に対応し、USBで規定される3種類のポートを含む合計6種類のUSBポートを自動認識して入力電流制限値を自動設定することが可能なほか、製品単体での充電動作を実行できるとともに、I2Cからのコマンド入力で充電動作を制御することが可能。I2Cからは充電開始/停止制御の他、充電制御電圧、充電電流、入力電流制限値などのパラメータ値変更に対応しており様々なニーズに対応することができる。

自動負荷配分機能では、電池に充電しながらシステムへの電源供給パスの制御を行う。USBからの電源供給時などの入力電流が制限された状態で、システムへの給電を優先して、充電電流を調整し、外付けにスイッチなどの大型部品を追加することなく、充電システムを構築できる。この他、入力/出力過電圧、温度保護、充電タイマ保護、サーミスタによる電池温度監視/JEITAガイドライン対応など安全に充電を行うための保護機能が搭載されている。また、充電制御電圧は高精度4.20V/4.35V±0.5%を実現。リチウムイオン電池を規定の電圧で安全に充電可能となっている。

なお、サンプル価格は320円。12月よりサンプル出荷を開始し、2013年1月より量産を開始する。2013年8月以降には、月産50万個を計画している。

ルネサスのリチウムイオン充電制御IC「R2A20057BM」