スキャン速度は、とにかく"速い!"の一言

実際に筆者がいくつかの紙資料をスキャンしてみたので、その結果を紹介しよう。使用した紙資料は、PCメーカーや携帯電話メーカーなどが記者会見時に配布するカタログやプレゼン資料など。紙の厚さは一般的なコピー用紙よりやや厚め。内容は文字ベースのものから、カラーの写真なども含んだグラフィカルなものまで6種類をスキャンしてみた。すべてカラー原稿で、ScanSnap Managerの設定は「ノーマル(カラー/グレー:150dpi、白黒:300dpi相当)」だ。

原稿 印刷面 枚数(面数) スキャン時間 1枚平均
カタログ 両面 6枚(12面) 14.7秒 2.45秒
カタログ 両面 8枚(16面) 18.3秒 2.29秒
カタログ 両面 36枚(72面) 78.1秒 2.17秒
プレゼン資料 片面 23枚(23面) 50.1秒 2.18秒
記者会見資料 片面 24枚(24面) 52.9秒 2.20秒
プレゼン資料 混在 10枚(15面) 23.1秒 2.31秒

上記結果から、平均で1枚読み取りに2.26秒ほどかかっている計算となり、公称値の1分間25枚(50面)、つまり1枚約2.4秒より速かった。これは筆者の試した環境ではあるが、実際に使って見た感覚としては、セットした原稿を流れるように連続して非常に速くスキャンしてくれる。ちなみに、筆者は業務用カラーコピー複合機をスキャナとして利用しており、こちらは1分間に約30枚(片面のみ)のスキャン速度なのだが、それと比較してもまったく遜色ないレベルだ。

画質に関しては、PCのディスプレイ、スマートフォン、タブレットといった、どのデバイスで閲覧してもまったく問題ない。シャープネスやコントラストをもう少し高くできると、より見やすくなる原稿もあったが、情報を読み取るという点においては十分だ。

また、読み取りのスピードに加えて、白紙部分の自動カットもキッチリと動作している点は評価できる。両面と片面が混在した資料をまとめてスキャンしても、印刷面のみを正しくデータ化してくれた。ただ、今回の試用において、原稿の天地が逆さまになってデータ化されたページがあり、原稿によっては文字向きの自動判定に失敗することもあるようだ。実際はほとんど正確なのだが、より精度を高めていって欲しいと思う。

PFU提供のプレゼン資料をスキャンしてみた。カラーもキレイに再現されている。ファイル容量は、A4の12ページで約8.25MBだった(150dpi)。メールなどで送受信するにはやや重いが、昨今のLTEやWi-Fiでの通信環境を考えると、これくらいの容量の資料をやりとりする時代になったともいえる

定番の座は揺るぎないか

ScanSnapシリーズは、ハンディ化や高速読み取りなどさまざまなユーザーニーズをつかみ着実に進化を遂げている。今回のiX500も、その成果は遺憾なく発揮されており、より使いやすさが向上したといえるだろう。

近年は他社もドキュメントスキャナに力をいれてきているが、ハードウェアの性能や作り込みはともかく、付属のソフトウェア、スマートフォン/タブレットとの連携、クラウドサービスとの連携などを含めたトータルソリューションでは、今回のiX500に一日の長があると感じた。ドキュメントスキャナにおけるScanSnapシリーズの高いシェアは、しばらく続くのではないだろうか。

最後に、iX500が登場したばかりで気が早いのだが、今後はぜひスマートフォン/タブレットだけでセットアップでき、スキャンからクラウドサービスへのアップロードまでを一括して行えるソリューションを提供して欲しい。また、せっかくWi-Fi(無線LAN)インタフェースを搭載したのだから、PCともWi-Fi接続、さらにはネットワークスキャナとして共有できると一層便利になるだろう。