「18mmに挑むことは避けられない要素」 - 基盤を10個に分割

「VAIO Duo 11」の本体サイズはW319.9×D199×H17.85mmとなっている。薄さで18mmを切ったのは、ソニーとしてのこだわりだった。

タッチパネルを搭載した「VAIO Duo 11」の場合、Ultrabookの基準では20mmを切ればいい。しかし、タブレットとしてのモビリティを追求した場合、18mmという目標は譲れなかったという。

本体を横から見たイメージ。薄さは17.85mmと、18mmを割り込んだ

「20mmの厚さで試作モデルを作ってみたが、18mmとは見た目の印象がまったく異なる。とても持ち歩くという印象にはならなかった」と、金森氏は語る。

20mmと18mmを比べると、わずか2mmの差とはいえ、比率でみれば1割の差になる。「全体のバランスをみても、18mmに挑むことは避けられない要素だった」という。

薄さの実現でポイントとなったのは、サーフスライダーを実現するヒンジ部の位置だった。

厚みをとってしまうサーフスライダー採用のヒンジを、ディスプレイ両側の額縁スペースに入れ込んでいる

「VAIO Duo 11」では、Windows 8のタッチ操作に必要とされる、ディスプレイ両側の額縁スペースを活用。この裏面にヒンジ部品を配置し、ディスプレイモジュールとヒンジが重ならないような設計とした。

基板も細かく分割し、ヒンジ部に重ならないような設計としたのも薄さを追求する工夫のひとつだ。

一方で、タブレットとして使用する際に持ちやすいよう段差をつけたり、冷却ファンの位置を本体のほぼ中央という、あまり例のない位置に配置することで、タブレット使用時に、手に持つ部分が熱くならないにように配慮するといった狙いなどがある。ファンの位置に関しては、効率良く排熱するためファンの上部にくる基板部分に穴を空けているのも、効率性と薄さを追求する工夫のひとつといえる。

中央にある白い円型の部品がファン。基盤の真ん中にファン用の孔を開けるという異例の工夫を凝らしている

また、「基板は約10個のサブボードに分割して搭載している。これも薄さを実現するための工夫のひとつ」とする。

そして、約1.305kgを実現した重量については、「できれば、1.2kgぐらいを目指したかった」と残念がるが、ここには、新たなサーフスライダー構造の影響や、タッチパネルによるディスプレイを搭載した影響は見逃せないだろう。

鈴木氏は、「サーフスライダーの構造だけが重量を増やす決定的な要素ではない」とするものの、その一方で、「最も使いやすいバランスが実現できた」と自信をみせる。操作性を損なわずに、約1.305kgという重量に抑えたというバランス感は、「VAIO Duo 11」の製品化における重要な判断のひとつだった。

VAIO Duo 11の基盤と底面カバー。基盤は10個に分割されている

"反響は予想以上" - VAIOシリーズの新たな付加価値

金森氏は、「自信を持って投入した『VAIO Duo 11』ではあったが、その反響は想像以上のもの」と語る。

ディスプレイを起こしたまま、慣れた手つきでデジタイザーペンを使いVAIO Duo 11を操作する金森氏

量販店店頭の一部では、売り切れとなっているところもあるほどの反響は、やはり予想以上のものと言っていいだろう。

Windows 7の登場時にはVAIO Xシリーズを投入し、ソニーとして、目玉といえる製品があった。今回の「VAIO Duo 11」は、Windows 8時代の最初の目玉商品として相応しい反響があったといえる。

鈴木氏は、「今後もサーフスライダーを採用した製品を継続させていきたい」と意気込む。「VAIO Duo 11」によってもたらされた新たな提案は、ソニーのVAIOシリーズの新たな付加価値へと成長することになりそうだ。