A4インクジェットプリンタは、給紙トレイが前後にはみ出したような形で印刷をすることが多い。本体奥行きに対して紙が大きいからだ。ところがMFC-J4510Nはそれがない。給紙トレイに紙を横向きにセットする形をとっているからだ。
操作用液晶の下にある黒い排紙トレイは、2段階に引き出すことができる。この排紙トレイが、給紙トレイのフタになっており、下のくぼみに手をかけると給紙トレイが引き出せる。トレイの動きは少々固めで、まっすぐ前に引き出すようにする必要がある。
トレイはちょうどA4横が収まる形で、B5サイズはレバーを調整して同じ向きに入れる。ハガキや封筒など小さな用紙を使う場合は、レバー調整後で縦向きに入れる形だ。
この、A4を横向きに通せる構造は本体のすっきり感だけに貢献しているわけではない。背面の手差しトレイも同じくA4横が通せる形であるため、A3の縦サイズも通せてしまうのだ。つまり、普通のA4プリンタのサイズでありながら、A3プリントができてしまうということになる。
家庭で大きく引き延ばした写真をプリントできるのはもちろん、オフィスでの活躍も期待できる。ごくまれにA3サイズをプリントしたいだけなのに、巨大なプリンタを置くことになっているという状況なら、ちょうどよいのではないだろうか。
自動両面にも対応した高速印刷
印刷機能もよい。基本の色づくりは派手、華やかという方向ではないが、ドライバの画面ではカラーモードを「ナチュラル」と「鮮やか」で選択することができ、ユーザーが好みに合わせて簡単に調整できるのがおもしろい。「鮮やか」にすると全体的にコントラストが強めのぱりっとした雰囲気の色になった。
画質は普通紙の場合「最高画質」、「普通」、「高速」と選択できる。最高画質は文字もなめらかだが、普通だと少々ドットが目立つ。しかし十分読める範囲で、しかも非常に高速だ。今回、プリンタヘッドが従来機の2倍にあたる35mmの大型ヘッドになっている。しかも紙がA4横で出てくる。つまり、ヘッドの往復回数が非常に少なくて済むのだ。「普通」モードでA4のドキュメントを印刷してみたところ、ヘッドが5往復程度しか動いておらず、あっという間に印刷されたという印象だった。
また、自動両面印刷も対応しており、大量のドキュメント印刷などにも便利に使えそうだ。
クラウド連携も強化してPCレスでも楽しめる
スキャン機能も便利だ。メモリカードやUSBメモリはダイレクトプリントに利用するだけでなく、スキャンしたデータの格納にも利用できる。しかも自動でPDF化してくれるのだ。ADFを使って大量の紙を読み込むと、1つのPDFファイルにして保存してくれるから、かなり使い勝手がよい。
保存先はクラウドにすることもできる。FacebookやFLICKRなどを指定してアカウントを登録すると、スキャンした画像を自動登録してくれるのだ。逆にクラウド上のドキュメントを印刷することもできるから、Dropboxにあるファイルを印刷する、というようなことも簡単にできる。
もちろん、従来モデルと同じくスマートフォンから印刷する「Brother iPrint&Scan」や「AirPrint」にも対応。Googleアカウントをプリンタ側にセットしておけば、出先からでもGmail等がプリントできる「Google Cloud Print」も利用できる。
コピー機能としては裏写りを防いだり、本の傾きやページの境目の影を補正するなど、賢い機能も持っている。つまり、PCがなくてもかなり活躍できる複合機なのだ。PCとつないで使うというだけでなく、さまざまなシーンで活用できる。ぜひ無線LAN接続で家庭のリビングやオフィスに置いて使って欲しいモデルだ。