AppleのTim Cook CEOが7~9月期の決算発表のQ&Aで、MicrosoftのSurfaceについて「妥協したわかりにくい製品」「空を飛んだり、水に浮かぶ車を設計できても、それらでユーザーを満足させることはできないだろう」と語ったという。同氏がSurfaceに触れたことがない時点のコメントなので、これはSurfaceではなく、Windows 8のコンセプトに対する指摘と受け止めるべきだろう。

従来のパソコンのUIとタブレットに適したタッチUIの共存が矛盾をはらむことは、おそらくMicrosoftも承知していると思う。しかし妥協と言われようとも、従来のパソコンユーザーをサポートしなければならない事情が同社にはある。だから、いち早く新しいユーザー体験にどっぷりと浸かりたいという人たちのための受け皿も用意した。それがWindows RTである。

Windows 8のタイル状のUIがMetroと呼ばれていた頃から、そのUIにはwebOSやiOSを深く研究した成果がにじみ出ていた。そこに惹かれていた筆者は、迷わず「Surface with Windows RT」を予約した。確かに、今はまだ不便に思うことが多いだろう。しかし、MicrosoftはWindows 8 UIの開花に全力を注ぐと期待したい。そのためにはソフトウエアとハードウエア、サービスの相乗効果を生み出すことがカギになる。当然「初めてのPCハードウエアだから」というような妥協は許されない。第1弾製品から完成度の高いハードウエアを用意してこそAppleを追撃できるというものだ。

前置きが長くなったが、Windows 8の一般提供が始まった10月26日、Surface with Windows RTが届いた。配達してくれたUPSの人に「今日は増員体制?」と尋ねたら、「いや、普通だよ」と返ってきたが、熱心なWindowsユーザーがMicrosoftの直営店に行列を作ったという報道もあった。まずはこだわりを持ったニッチからスタートした方が良い製品になるだろう。どきどきしながら開封。Surfaceを取り出した第一印象は「タブレットっぽくない……」だった。

平たく大きいSurfaceのパッケージ

スライドして内箱を出し、ふたを開けるとSurface本体と電源アダプタ

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