iPhone 5と同時に発表され、日本時間の20日午前2時ごろにダウンロード可能となった「iOS 6」。詳細なレビューは使い込んでからとして、まずは半日使ってみた時点での新機能のポイントをご紹介していこう。まずは電話、Siri、メールの機能からだ。

アップデートされたiOS6のホーム画面。マップのアイコンが変更になっていたり、新しい機能Passbookのアイコンが表示されていたりといった変化がある

iCloud連携は強化、Google連携は後退

ひとつひとつの機能をみていく前に、軽く全体についてのおさらいから。iOSの変更点は、新たに加えられた機能、これまでの機能を強化したもの、そしてこれまであったのに削られてしまった機能の3つに分けられる。

ポイントのひとつといえるのが、iCloud連携が強化された点だ。前バージョンでは"ようやくクラウドに対応した"という感じの機能だったが、iOS 6ではその機能が向上して、各アプリとの連携が可能になっている。例えば、SafariではiPadやMacで開いているタブを同期する「iCloudタブ」が実装された。メールも同じく、「VIP」と呼ばれる簡易ユーザー抽出機能が同期できるので、重要なメールを見逃すことが少なくなった。複数のデバイス間で様々な情報が同期できるため、どの環境でも意識することなく同じ情報が利用できるのは便利だ。

iOSのマップでは3D機能が利用できるようになった。しかし情報量という点では正直微妙だ

削られた機能の中で目に付くのは、やはりGoogle関連の機能だ。噂のマップはこれまでGoogle Mapのデータを使っていたが、今バージョンからはApple独自のものに変わった。またiOS付属のYouTubeアプリも削除され、Googleが別途提供するYouTubeアプリをApp Storeからダウンロードする必要がある。マップに関してはナビ機能や3D表示など強化された部分もあるが、巷でも話題に上っているように現時点では前バージョンにくらべて見劣りがする情報量。また、経路検索では電車を使った移動の検索が現在のところできておらず、かなり不満の残る部分と言える。Googleからはマップアプリを継続することに前向きなコメントも出ているようなので、YouTubeと同じようにGoogle Mapアプリが出てくることを期待したい。

また目玉機能の一つであるPassbookについては、ぐるなび、TSUTAYAが日本でのサービス提供を発表している。今後のサービスの拡張が期待されるところだ。

Passbookが普及してくれば、ここにクーポンやチケットが表示されるようになるはず

それでは順に、細かいバージョンアップ部分をみていこう。

電話

着信画面で右側の電話アイコンを上にスライドすると「メッセージで返信」「後で通知」が現れる

今回のバージョンアップで、iPhoneの電話機能が進化した。これまで、電話に出られないときは切ってしまうか留守番電話にするしかなかったが、iOS 6では電話に出られない場合に相手にメッセージを送ったり、電話がかかってきたことと折り返しの連絡をすることをリマインダーに登録したりする機能がついた。例えば会議中などで電話に出られないとき「あとで電話します」などのメッセージをSMSで送信できるわけだ。

折り返し電話のリマインダーでは、「1時間後」や「違う場所に行ったら」などの条件を付けてのリマインダー作成が可能だ。他には音声通話/データ通信を完全にオフにしてしまう機内モードの他に、指定時間中は限られた人以外の電話の着信や通知がされなくなる「おやすみモード」が追加された。

Siri

Siriは米国での発表で、映画のスケジュールや上映時間、レストランの予約などに対応するとアナウンスされていたが、やはり日本ではこれらの機能が利用できない。スポーツ情報は利用できるが、現在表示されるのはあくまでもMLBなど米国の情報のようだ。

Siriを介したTwitterやFacebookへの投稿は可能になった。ローカル検索、道順検索などは10月に対応する予定とのこと。認識能力が上がり、全体的に安定感は増した感じだ。

Siriから映画情報を呼び出そうとしたところ。映画が見つかったとはいうものの、表示されているのはiTunes Storeで購入できる映画の情報のようだ

"Twitter"と話かけるとツイート投稿画面が表示される。投稿内容の入力も音声で行える

メール

メールの一番のポイントはやはり「VIP」機能への対応だ。VIP機能はOS X Mountain Lionに先行搭載されているので、すでに利用したことのある読者も多いだろう。

受信したメールの送信者欄をタップして「VIPに追加」を押すことでVIPとして指定される。メールボックスの受信欄にも「VIP」が追加され、VIPから送られたメールはこのVIPメールボックスに表示される。iCloudを介してMacや他のiOSデバイスと同期することも可能だ。メールの受信数が多く、重要なメールを読み飛ばしてしまう人には便利な機能だ。

VIP指定は連絡先からでなく、メールの送信者欄から行う。詳細を開くと「VIPに追加」ボタンが表示されるので、これをタップして指定する

VIP指定したメールはVIPメールボックスにまとめて表示できる。忙しいときはここだけチェックしていればOKだ

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というわけでまずは電話、Siri、メールというコミュニケーション機能のポイントをご紹介した。第2弾では、Safari、写真、マップ、iTunesといった従来からある機能がどのように変化したかをチェックする。