ソニー、「α99」「DSC-RX1」の発表会 - フルサイズ「NEX」にも言及

ソニーは9月12日、デジタルカメラ新モデル「α99」「サイバーショット(Cyber-shot) DSC-RX1」、およびデジタルビデオカメラ「NEX-VG900」「NEX-VG30」の製品発表会を開催した。

4製品の中でも、α99とDSC-RX1、NEX-VG900は、いずれも新開発のフルサイズCMOSセンサーを搭載し、各シリーズにおいてフラッグシップに位置付けられるモデル。DSC-RX1はコンパクトデジタルカメラとして、NEX-VG900はEマウント対応機として、それぞれ初となるフルサイズセンサー搭載機。ソニーが取り組む「高付加価値戦略」を象徴するモデルとして、同社の今後の展開を占う発表会となった。

自社開発デバイスで生み出す高付加価値

発表会ではまず、ソニーの業務執行役員 SVP デジタルイメージング事業本部 石塚茂樹 本部長が登壇した。

石塚氏は最初に、デジタルイメージング市場の傾向を紹介。デジタルビデオカメラやコンパクトデジカメは縮小傾向にある一方で、ミラーレスが牽引役となっているデジタル一眼カメラ市場や、高級コンパクトデジカメ・高倍率ズームコンパクトデジカメなどは成長傾向を示している。

このためソニーでは、デジタルイメージング事業を「成長カテゴリー」と「成熟カテゴリー」の2つに区別。成熟を迎えているデジタルビデオカメラなどにおいては、プロジェクター搭載モデルといった新提案を行いつつマーケットリーダーとしてのポジションを維持し、デジタル一眼や高級コンパクトデジカメでは高付加価値を提供していく方針を示した。

この高付加価値化において大きな役割を果たすのが、今回の新製品でも採用されているフルサイズCMOSセンサーなどのイメージセンサーや、レンズ、画像処理エンジンに代表される自社開発デバイスだと石塚氏は語る。

石塚氏は「ソニーといえばエレクトロニクス企業とイメージされがちだが、長年の蓄積により、レンズなどの光学技術も高いものを持っている」とコメントしたうえで、DSC-RX1で採用された薄型非球面のAA(Advanced Aspherical)レンズを紹介した。このレンズが、フルサイズセンサー搭載機でありながらコンパクトサイズのボディを実現したとのことだ。

また、高付加価値化の一つの方向として、カメラとネットワークの連携も挙げられた。すでに海外発表された「NEX-5R」や「NEX-6」のように、Wi-Fi接続に対応したカメラを日本国内でも順次投入していくという。

スマートフォンの浸透でカメラに求められる撮影専用機としての強み

続いて登壇したソニーマーケティング プロダクトマーケティング 粂川滋 執行役員も、市場を取り巻く環境を説明。

カメラ機能付きケータイやスマートフォンの普及により、デジタルカメラの出荷台数は減少傾向にあることが示された。粂川氏は「日常的な撮影はスマートフォンで行われるようになったが、特別なシーンでは専用機としてのカメラが用いられている」と分析。「高倍率ズーム機など、撮影専用機としての強みを発揮できるカメラに対するニーズは依然として強い」とコメントした。

粂川氏も、高付加価値化戦略の一環としてネットワークとの連携を紹介。ソニーが展開するクラウドサービス「PlayMemories online」や、「α」シリーズユーザー向けのコミュニティサイト「αcafe」で、写真のさらなる楽しみを提供していく方針を説明した。

ミラーレス一眼「NEX」でフルサイズセンサー搭載機が登場!?

発表会後の質疑応答では、ミラーレス一眼の「NEX」シリーズでフルサイズセンサーが搭載されるモデルの登場に関しても質問が及んだ。石塚氏は、「NEX」シリーズがコンパクト化を優先するモデルであるため、ボディサイズもある程度大型化せざるを得ないフルサイズセンサーを搭載することとの兼ね合いをまず説明。その上で「現状では見送っているが、検討自体はもちろんしている」と、今後の登場に期待を持たせた。