ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のネットワークレコーダー「nasne」が8月30日に発売された。同日、ソニー製PC「VAIO」向けに専用クライアントソフト「VAIO TV with nasne」Ver.1.0 ベータ版もリリース。「VAIO TV with nasne」は、nasneをPCから操作できるクライアントソフトウェア。PC上でnasneを利用した番組録画や再生、テレビ視聴に加え、nasneで録画した番組をBD/DVDといったメディアに書き出せる点が特徴だ。

現在はWindows 7向けのベータ版(Ver.1.0)が公開されており、CPUにIntel AtomまたはシングルコアCPUが搭載されたモデル以外のVAIOであれば、専用サイトからダウンロードして無料で利用できる。まだベータ版ともあって細かい仕様がシンプルな印象だが、本稿では早速実際の機能や使い勝手をチェックしていこう。

対応ネットワーク機器が必要な「nasne」

「VAIO TV with nasne」の前に、セットで利用するレコーダー「nasne」の特徴を簡単に確認しておこう。nasneは地上デジタル放送やBS/110度CS番組を録画できるレコーダーだが、一般的なテレビやレコーダーとは異なり、番組を視聴するにはネットワークが必須になる点が特徴だ。そのためSCEでは、nasneを「ネットワークレコーダー」という呼称で紹介している。

通常のレコーダーであれば、テレビに接続することで番組の録画や再生が可能になるが、nasneが備える接続インタフェースはテレビアンテナの入出力と有線LANインタフェースのみ。HDMIやコンポジット端子などの映像出力を備えていないため、テレビとnasneだけでは録画以前に、nasneを操作する画面を表示することもできない。

そのため、nasneを使うには対応するネットワーク機器が必要になる。具体的にはnasne同梱のソフト「torne」をインストールしたPlayStation 3(PS3)、Androidアプリ「RECOPLA(レコプラ)」をインストールしたソニー製タブレット、そしてソニー製PC「VAIO」シリーズ向けの専用ソフトウェア「VAIO TV with nasne」から利用することになる。

nasne

検証に利用したのは2012年6月発売の「SVE14A18FJB」。Corei3-2350M(2.3GHz)を搭載した14型の「VAIO E」シリーズだ

なお、nasneの対応機器は今後も拡大予定で、PlayStation Vitaやソニー・モバイルコミュニケーションズ製のスマートフォン「Xperia」シリーズもnasneに対応する予定。また、番組の予約録画はWebサービス「Gガイド.テレビ王国CHAN-TORU」からも行えるほか、録画した番組はDTCP-IPに対応した他社メーカーのスマートフォン・タブレットからも再生可能。本格的な操作は上述した専用の対応機器のみだが、Webからのリモート録画や録画番組の再生は他社製の機器からも可能、という区分になっている。

設定は簡単。録画機能は充実ながらtorneに比べるとシンプル

「VAIO TV with nasne」の設定は非常にシンプル。まずはB-CASカードを装着したnasneにテレビアンテナとLANケーブルを接続して電源を投入し、次に「VAIO TV with nasne」を起動すると設定方法を説明するウィザードが表示される。画面に従って操作していくとネットワーク上のnasneを自動的に検出し、地上デジタル放送受信設定やBS/110度CS放送受信設定も、説明に従っていくだけで設定が完了する。

複数のnasneを設定する場合も、設定アイコンから「新しい機器の追加」を選択すると、ネットワーク上に存在する新しいnasneを自動で検出し、前述の方法で追加できる。「VAIO TV with nasne」では最大8台までのnasneが管理できる。

nasneのセッティング画面。nasneをホームネットワークへ機器登録し、デジタル放送の受信設定を行う

起動時の画面インタフェースは「home」のほか、録画した番組を扱う「video」、電子番組表の「guide」、録画予約の設定変更が可能な「schedule」、nasne経由でテレビを視聴できる「tv」という5つのカテゴリで構成。「home」は現在提供されているベータ版では利用できないが、テレビ視聴や未視聴の番組表示、注目番組の紹介といった機能が、今後のアップデートでhomeカテゴリに提供される予定だ。

今後提供予定のnasneホーム画面のイメージ。ベータ版では未提供となっている

番組の予約録画を行なう「guide」の番組表は、ウィンドウサイズに合わせて最大7チャンネルまで表示できる。右上のプルダウンから縦幅を「縮小」「標準」「拡大」の3通りにカスタマイズできるほか、日付や地上波/BS/CSの切り替えも左上のプルダウンで選択できる。デザインは非常にシンプルで、時間帯ごとの色区分は行なわれているが、「ドラマ」「バラエティ」といったカテゴリごとの色分けはされていない。

guideの番組表示。横は最大7チャンネルまで表示できる

番組の縦幅を「縮小」に切り替えたところ

「拡大」に切り替えたところ。文字の大きさは縮小・通常サイズとさほど変わらない印象

録画したい番組をクリックするとウィンドウが表示され、録画先の選択、繰り返し録画の設定ほか、画質モードを「DRモード(高画質)」か「3倍モード(標準)」のどちらかを選択して予約録画が設定できる。「VAIO TV with nasne」では最大8台までのnasneを管理できるため、番組ごとに録画するnasneを切り替える、という設定もここから可能だ。

番組表からの録画設定

PS3の「torne」からの操作と比較すると、主な機能は同等だが、番組表はジャンルごとに色分けがないほか、torneに搭載されている人気の録画番組ランキングといった機能も用意されていない。また、torneでは録画する番組情報をTwitterへ投稿できる連携機能を備えているが、「VAIO TV with nasne」ではこの機能も搭載されておらず、「録画したい番組をPCから選択する」というシンプルな作りになっている。

録画予約の設定変更は「schedule」から行う。録画の設定を変更したり、録画エラーなどの確認が可能だ。

録画予約の設定変更は「schedule」から行う

設定変更画面。予約の削除も可能

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