エプソンは21日、ビジネス向けのA4インクジェット複合機/プリンタを合計9モデル発表した。カラー複合機が4モデル、カラープリンタが2モデル、モノクロ複合機/プリンタが3モデルという内容だ。同日に都内で行われた記者発表会の模様をお伝えする。

新モデルの機能やスペックなどの概要は、下記のニュース記事を参照いただきたい。

エプソン、ビジネス向けカラーインクジェット複合機4機種 - 両面ADFなど
エプソン、無線LAN標準装備のビジネス向けA4カラーインクジェットプリンタ
エプソン、低価格なビジネス向けモノクロA4インクジェットプリンタ/複合機

A4カラーのBIJ複合機「PX-675F」

A4カラーのBIJプリンタ「PX-105」

A4モノクロのBIJ複合機「PX-K751F」

A3インクジェット複合機の投入で市場が大きく伸びた

エプソン販売 取締役 販売推進本部長、中野修義氏

発表会の冒頭ではエプソン販売の中野氏が登壇し、ビジネスインクジェットプリンタの市場動向や、オフィスのプリント環境に対する企業意識、今回の新モデルの戦略などを述べた。

中野氏によると、ビジネスインクジェット(以下、BIJ)プリンタ/複合機の市場は近年だいたい10%で成長している。エプソンは2011年の後半にA3対応のBIJ複合機を投入したが、それによりBIJのA3複合機の市場規模が一気に238%(2010年下期比)の伸びを見せたという。その中で、エプソンは実に58%のシェアを獲得している。「まだまだビジネスインクジェットは認知度が十分ではなく、広く知っていただくことで、これからも市場が伸びると確信している」(中野氏)

企業におけるBIJ機の使われ方は、月間の印刷枚数がだいたい1,000枚から2,000枚のゾーンであり、これを将来的には月間5,000枚くらいの領域まで広げたいとした。「今年度は月間1,000枚のところをカバーする製品をしっかりと固める。小売店や飲食店、SOHO、オフィスのデスクサイドなどを主なターゲットとし、来年以降はプリントボリュームの高いところまで見据えつつ、一気に加速させたい」(中野氏)

BIJ市場は緩やかに成長

A3対応BIJ複合機で市場が活性化

印刷枚数で考えるBIJのカバー領域

「Epson Connect」を構成する各種のネットワーク機能

また、コンシューマ向けインクジェットプリンタ/複合機の「カラリオ」シリーズで実現していたネットワーク機能を、BIJにも拡大。プリンタ/複合機が個別のメールアドレスを持ち、そのメールアドレスへとメールを送ることで、メール本文や添付ファイルを印刷できる「メールプリント」、BIJ複合機でスキャンしたデータをクラウドサービスへ送信する機能、インターネット経由で遠隔地のプリンタでリモート印刷できる「リモートプリントドライバー」など、多彩なネットワーク機能を「Epson Connect」と名付けた。例えば、FAXの代替に使えるようになり、大幅なコスト削減が実現できるという。

耐久性・堅牢性・使い勝手を向上

セイコーエプソン プリンター事業部 企画設計部 部長、和田高一氏

続いて、セイコーエプソン プリンター事業部の和田高一氏が、新モデルについて概要を紹介。今回はA4機を多く投入し、ミドルレンジとローエンドの領域を強化する(A3機は従来モデルを継続)。モノクロ機もそろえ、低コストやモノクロ需要にこたえるとした。

新モデルの進化ポイントとしては、耐久性向上、堅牢性、使い勝手向上、小型化の4点を挙げた。エントリークラスのレーザープリンタと同等以上の6万枚や5万枚の印刷耐久性を実現したほか、操作パネルを本体と一体化することによる堅牢性、本体前面に引き出す排紙トレイの部品数を減らすことによる堅牢性と使い勝手の向上、より頑丈な用紙カセットの採用といった内容だ。

また、1枚単位の手差し給紙を設けることで、ハガキや封筒に印刷しやすくしたり(多様な用紙に印刷できるのもBIJの利点)、排インクを貯めておくメンテナンスボックスをユーザーが交換できるようにしている。モノクロ機においては、カタログ値で10,000枚も印刷できるという大容量インクカートリッジを用意した。

そのほか、全色顔料インクによる高品位な印刷(マーカーでなぞってもにじまない)、高速なファーストプリント、レーザープリンタと比較して印刷コストが安いなど、BIJのメリットも改めて強調した。

今回の新モデル

BIJは消費電力が低い

レーザープリンタとのトータルコスト比較

印刷枚数にして5万枚や6万枚の耐久性

操作パネルの一体化で堅牢性を向上

排紙トレイの部品数を減らしている

より頑丈な用紙カセット

ユーザーが交換可能なメンテナンスボックス

モノクロ機のPX-K571F/K701には大容量インクを用意

シェア目標は50%、台数目標は60万台

エプソン販売 OP MD部 部長、鈴村文徳氏

エプソン販売の鈴村文徳氏からは、販売戦略の紹介があった。BIJとレーザープリンタ/複合機を合わせ、しっかりとラインナップを組むことでシェアアップを目指すとした。目標値としては、ビジネス利用のインクジェットプリンタ/複合機で50%のシェア、台数ベースで60万台を掲げる。

「今回の新モデルによって、BIJが19モデル、レーザー機で24モデル、計43モデルという充実したラインナップとなった。現在は『A4のFAX対応』が伸びているが、ボリュームゾーンとなる25,000円前後の領域をカバーする製品がなかったので、そこに強力なモデルを投入する。ユーザーの要望やニーズにきめ細かくこたえていきたい」(鈴村氏)

また、A3対応のBIJ機が大きな実績を残したことで、認知度が上がれば市場が伸びることも確信したという。BIJのランニングコストが安いことや、多彩なネットワーク機能のEpson Connectなどをアピールすることで、認知度の向上に継続して取り組んでいくとした。

新モデルと発売日

直販価格

ビジネス向けプリンタ/複合機のラインナップ

シェアと台数の目標

BIJはランニングコストが低い

BIJとレーザープリンタのコスト比較

「Epson Connect」は書類の輸送やFAX送受信を置き換えることも可能。輸送コストや通信コストを大幅にカットできる

発表会プレゼンテーションのスライドショーはこちらから →