40mmという焦点距離については、パースの誇張が少なく、見た目に近い自然な遠近感を得やすい焦点距離といえる。ただ広角と呼ぶには少々長めで、風景の全体を捉えるのは得意ではない。撮影感覚としては、従来の50mmの標準レンズに近く、風景の一部を切り取る感覚で構図を決めるのに適している。その一方で50mmよりもやや写る範囲が広いので、スナップ用には都合がいい。

写りは、開放値から画像の中央部でシャープネスの高い描写を得られる。四隅にはやや甘さが見られるが、F4以上に絞り込むと全域でクッキリとした描写になる。逆に中央部に関しては、絞り込んでも解像感はあまり変化しない。

色収差や歪曲収差はほとんど目立たず、逆光でのコントラストの低下も少なめだ。絞りは7枚羽根の円形絞りで、多少絞り込んでも丸いボケを維持できる。

周辺減光については、開放値での落ち込みが結構目立つ。ただし、急激な落ち込みではなく、四隅に向かってゆるやかに光量が低下するタイプの減光なので、レンズの個性のひとつとして光量低下をあえて作画に生かすのも面白いだろう。絞りを絞り込むと徐々に減光は解消され、F8くらいでほぼ気にならなくなる。以下の写真は、絞り値を変えながら同一の構図で撮影したものだ。

なおEOS 5D Mark IIIは、最近の「EOS」シリーズに共通した機能として、レンズごとの補正データを利用して周辺減光や色収差をデジタル補正する機能を備えている。この記事の執筆時点では、EF40mmは非対応のため補正はできないが、将来的に補正データが用意されれば、周辺減光の自動補正が可能になる。

オリジナル画像:F2.8

オリジナル画像:F4

オリジナル画像:F5.6

オリジナル画像:F8

オリジナル画像:F11

オリジナル画像:F16

絞り値による描写の違いの比較その1。【撮影条件】上段左からF2.8/F4/F5.6、中段左からF8/F11/F16、下段はF22で撮影。撮影モード:絞り優先AE / 露出補正:±0/ 感度:ISO100 / WB:太陽光 / ピクチャースタイル:スタンダード(シャープネスは初期設定の3から2にカスタマイズ)

オリジナル画像:F22

オリジナル画像:F2.8

オリジナル画像:F4

オリジナル画像:F5.6

オリジナル画像:F2.8

オリジナル画像:F4

オリジナル画像:F5.6

絞り値による描写の違いの比較その2。【撮影条件】上段左からF2.8/F4/F5.6、中段左からF8/F11/F16、下段はF22で撮影。撮影モード:絞り優先AE / 露出補正:±0/ 感度:ISO100 / WB:太陽光 / ピクチャースタイル:スタンダード(シャープネスは初期設定の3から2にカスタマイズ)

オリジナル画像:F22