ユーザインターフェイスに大きな変更はなかったMountain Lionだが、よく見ると基盤部分に興味深い変更が加えられていることがわかる。シリーズ最終回の今回は、Safari 6と音声入力、サンドボックスについて解説していこう。

■奥の奥までMountain Lion
第1回 - 64ビット対応、スクリプト言語/サーバソフト、OpenCLをチェック
第2回 - iCloudとの統合はどのように実装されているのか
■OS X Mountain Lion関連記事リンク集
"山ライオン"の真の姿に迫る! - OS X Mountain Lion 関連記事まとめ

Safariを取り巻く状況の変化

バージョン6を迎えたOS標準のWebブラウザ「Safari」。2003年の初公開時点では、「IEより3倍速い」「起動はIEより40%高速」と、Mac版Internet Explorerと比較した説明がなされていたものだが(筆者によるレビュー記事)、いまや他のブラウザが引き合いに出されることもなくなり、"我が道を行く"感すらある。

Safariのブラウザ市場全体に占めるシェアは約7.3%(StatCounter Global Stats調べ)と、ここ数年4番手をキープしているが、これはデスクトップ機での話。スマートフォンなどモバイル機器におけるプレゼンスが重要となった現在、この数字に一喜一憂する必要はなくなった。iOSに標準装備のブラウザは「Safari」であり、Androidの標準ブラウザ(Chrome Lite)もWebKitベースであることを考慮すれば、"Safari/WebKit系ブラウザ"は圧倒的シェアを持つとも解釈できる。

そのためか、Mountain Lionとともにリリースされた「Safari 6」をもって、Windows版Safariの配布は事実上停止されている(従来のダウンロードページにアクセスするとSafariの紹介ページへリダイレクトされる)。開発停止となるかどうかの正式発表はないが、AppleがもはやWindowsを追いつき追い越す対象と見ていない気配からしても、Windows版Safariの役割は終わったと見るべきなのだろう。

Mountain LionのSafari 6で追加された「タブビュー」。画面上をピンチアウトすると表示できる

Apple IDを介して他のデバイスと開いているタブを同期できる「iCloudタブ」。ただし現時点ではiOSが未サポートのため、本領を発揮できていない

アドレスバーと検索フィールドが統合されたほか、「共有」ボタンが追加されている

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