7月31日にトレンドマイクロは、今後のコンシューマ戦略を発表した。まず、これまでと大きく異なるのは、「デバイス」、「データ」、「プライバシー」、「ファミリー」の4分野で展開する点である。同社はこれまでウイルスバスターを主力とし、PC向けのセキュリティ対策ソフトを中心に、コンシューマ事業を展開してきた。その方向が、今回大きく変わったといえよう。

図1 登壇者の大三川彰彦氏(向かって右)と吉田健史氏(向かって左)

コンシューマ事業のビジョン

まず、登壇したのは、取締役副社長・グローバルコンシューマビジネス担当の大三川彰彦氏である。これまでは、PCを中心とした個人向けのデジタルライフを守ることを目標としてきた。それが、この数年で大きく変化してきた。クラウドの普及、スマートフォンなど新デバイスの普及などの変化に対応するのが、今回の事業戦略となる。

図2 新たな4つの領域

図2が上述した4つの領域である。すでにこれらの領域では、対応する製品が存在する。デバイスは、モバイルを含めウイルスバスターなど、これまでもなじみの深いものである。データは、同社の「SafeSync」に代表されるクラウドサービスである。プライバシーは、パスワードマネージャ(先行評価版)、ファミリーでは、「こどもーど」などもある。そして、これらの個人向けのデジタルライフをトータルに支援していくことが目標となる。そのために、同社では新たな組織体制も構築している(図3)。

図3 新しい推進体制

今回の新戦略を担うのが、グローバルコンシューマビジネスである。世界各国にある開発体制を、インターネットセキュリティ(Windows/Mac)、モバイル、新規(ホーム&データマネジメント)という3つの体制に移行する。新規が、個人向けのデジタルライフを支援する新たな企画・開発行う部署となる。まずは、100名の人員を割り当てるとのことである。さらに、日本のコンシューママーケティング組織に、新しい分野の製品企画やパートナー協業を推進する専任のビジネスデベロップメントチームを新設する。この背景には、変化のスピードに対応することがある。すべてを自社で開発しているだけでは間に合わないこともある。M&Aなどの方法もあるが、やりやすいのが協業である。それを積極的に進めていくとことで、タイムリーに新製品を投入していきたいとのことである。目標として、全世界の総売上高を2011年の実績から3年後の2014年に25%増、5年後の2016年には45%増の成長を目指すとのことである。

今後予定される新たな新製品とは

次いで登壇したのは、執行役員・ホーム&データマネジメント 製品企画・開発統括部長の吉田健史氏である。吉田氏は、上述のビジネスデベロップメントチームの責任者でもある。会場には、あたかも一般的なリビングのようなセットが作成されており、デモが行われた。まずは、写真などのデジタルデータをどう扱うかというテーマが披露された。

図4 デジタルデータを利用するデモ

デジカメで撮影したデータを自動的にクラウドにコピーして共有、スマートフォンで表示したり、リビングのTVで表示させる。スマートフォンの場合には、帰宅するとネットワークに接続した時点で、同期が行われる。このように、あくまでユーザーの立場、ユーザーの目線で使いやすいソリューションを提供していきたいとのことである。このような写真管理システムならば、すでに他にも存在するが、セキュリティベンダーとしての付加価値をつけ、ユーザーにアピールしたいとも語っていた。そして、「複雑なセキュリティをカンタンにする会社」という新たなイメージも注目したいところである。

図5 新たなトレンドマイクロのイメージ

調査によれば、1人あたり平均18個のパスワードを管理しているとのことである。しかし、多くがパスワードの使い回しをしており、これが問題となっている。そこで、パスワードマネージャを使うことで、管理はすべてそちらに委ね、ユーザーは何も意識せずにWebを楽しむことができるようになる。この例のように、とにかくユーザーにとって使いやすい形で提供すること、さまざまな形があるが、トレンドマイクロの目標となる。最後に、今後の製品・サービスの計画であるが、非常に多岐に、また多くが予定されている。個々の製品について、個別に発表される予定である。本誌でも、機会があれば紹介したい。

図6 今後の製品ロードマップ