Analog Devices(ADI)は6月19日、13GHz PLLシンセサイザ「ADF4159」、デュアル16ビット1.25GSPS D/Aコンバータ(DAC)「AD9128」、12ビット・ダイレクト・デジタル・シンセサイザ(DDS)「AD9914/15」を発表した。

PLLとDDSの信号発生方法の違い

ADF4159は、高周波化が進むレーダーや無線通信、そして24GHz帯(FMCW波)を用いた車載衝突防止レーダーなどに向けたPLLシンセサイザで、1/N分周と1/(N+1)分周器を切り換えることで、細かな周波数制御が可能な同社の「フラクショナル-Nファミリ」に位置づけられるもので、同ファミリとしては最高となる13GHzのRF周波数帯域に対応する。

フラクショナル-N分周器により、細かな周波数制御が可能

最高110MHzの位相比較周波数(サンプリング周波数)に対応しつつ、110mW以下での動作が可能であり、周波数シフト・キーイング(FSK)変調および位相シフト・キーイング(PSK)変調を実現させるために用いることが可能だ。

また、複数の周波数スイープモードも提供しており、周波数ドメインにおけるのこぎり波や参画はなどの波形生成が可能。さらに、既存製品などではFMCWに対応させるためにDDSを用いることが多かったが、位相比較周波数110MHzへの対応により同製品単体でFMCWへの対応を可能としている。すでにサンプル出荷は開始されており、2012年第4四半期からの量産出荷を予定。価格は1000個受注時で7.49ドル(米国での販売価格)となっている。

AD4159の概要。FMCWでの利用する場合でもDDSを用いずに実現することが可能

AD9914/15は、レーダーや無線通信、電子試験/測定向けDDSで、従来製品の最大レートである1GSpsを大きく上回る2.5GSps(AD9914)ならびに3.5GSps(AD9915)を実現した12ビットDDS。

最高1.4GHzまで任意に周波数を可変するアナログ正弦波波形の合成が可能。また、制御用32ビットパラレルポートとプログラマブルモジュラス機能を搭載しており、1クロックで出力信号の周波数、位相、振幅を変化させることが可能なほか、プログラマブルモジュラス機能により、信号発生器とほかの機器と同期をとるようなアプリケーションなどへと用途を拡大することが可能になるという。

AD9914/15の概要

2製品ともにすでにサンプル出荷中で、量産出荷は2012年夏を予定。100個受注時の単価はAD9914が149.00ドル、AD9915が119.0ドル(いずれも米国での販売価格)となっている。

AD9914/15のブロック図

そしてAD9128は、主にワイヤレスインフラやLocal Multipoint Distribution Service(LMDS)/Multipoint Multichannel Distribution Service(MMDS)など向け製品で、JEDEC Solid State Technology Associationが規定した、A/D&D/AコンバータとデジタルIC(特にFPGA)間で、高速インタコネクト・シリアル伝送を実現する規格「JESD204A」に対応したデュアル16ビット1.25GSPS送信用DAC。

1レーンあたり3.125Gbpsレート、16ビットで156.25MSpsの伝送スループットで1本の配線(ツイストペア)でデータ/クロック/フレーミング伝送が可能なJESD204を4レーン備えているため、デバイスの内部パラメータと多数の機能のプログラミングおよびリードバックを可能とする。

AD9128のブロック図とJESD204Aの概要

500MHzまでのIP帯域幅をサポートしているほか、切り替え可能な2/4/8倍のインターポーレーション(内挿)/複素変調器により、DACの帯域幅内であれば自由にキャリア設定が可能。ダイナミックレンジは80dBc@fDAC=200MSps、fOUT=50MHz、72dBc@fDAC=800MSps、fOUT=70MHzであるほか、アナログ出力は8.7mA~31.7mAまでの間でRL=25Ωから50Ωまで調節が可能。

すでにサンプル出荷を開始しており、2012年7月からの量産開始を予定。サンプル価格は1000個受注時で34.50ドル(米国での販売価格)としているほか、2012年7月にはXilinxのFPGA開発プラットフォームに対応するFPGA Mezzanine Card(FMC)の提供を開始する予定としている。