EPUB 3.0対応の一太郎2012なら個人の創作意欲を満たせる

新たな出版市場として注目を集めている電子書籍。これまでの出版物は出版社や印刷会社などが携わることで市場に送り出されていたが、インターネットが普及した現在、電子書籍は個人出版の受け皿として大きな市場になる可能性が高い。つまり個人の創作意欲を遺憾なく発揮できる場になるのだ。しかしながら、電子書籍コンテンツのフォーマットは各社独自のものを採用し、自社製リーダーを購入させるがために乱立していたが、2007年に米国の国際電子出版フォーラムが定めた規格「EPUB」の登場で大きく変化した。

EPUBはフォーマットのオープン性を持ったXHTMLのサブセット版。当初は基本的な構成しか持ち合わせていなかったものの、CSSを用いた基本的なデザインやベクターイメージであるSVGをサポートしていたが、日本国内では一般的に使われる縦組み文書へは未対応だった。これが国内における電子書籍市場に歯止めをかけていた一因だった。しかし2011年、正式に制定されたバージョン3.0では、縦組みやルビ、縦中横などをサポートし、ようやく日本国内の電子書籍市場を作り出す土壌が整ったのである。

既にプロ向けのDTPソフトウェアや企業向けソフトウェアではEPUB 3.0をサポートされているものの、個人レベルに関しては、2012年に入った現在でも出そろっていないのが現状である。そこで一太郎シリーズでは先陣を切り、EPUB 3.0に対応した出力機能を備えたのである。

特別な操作は必要なく、EPUBに対応したテンプレートを選択して、出力する文書を流し込んだらデザインを軽く整える。後はEPUB形式で保存するだけと、普段ワープロを使っている要領で十分だ。もちろんワープロ文書とは異なり、画像枠などのオブジェクト、文字飾りなどは控えめにするといった独特のコツは必要ながらも、このあたりは操作に慣れてくれば自然と身につくだろう(図12~15)。

図13 今回は本原稿を流し込んでみた。図版もワープロ文書作成時と同じく挿入メニューなどから操作すればよい

図14 出力時はEPUBのルールに従い、タイトルや著者名などが指定可能。また詳細モードではキーワードや著作権なども指定できる

図15 Mozilla Firefoxのアドオン「EPUBReader」で出力したファイルを表示させてみた。テンプレート選択から表示まで数分もかからなかった

さて、せっかく作った電子書籍はオンライン上で販売したいと考えるのは当たり前。既に各所で報じられているとおり、JustSystemsはオンライン電子書籍ショップ「Puboo」を運営するpaperboy&coと提携し、一太郎2012ユーザーに限り、月額料金を無料するサービスを約一年限定で行っている。詳しくは一太郎の公式サイトをご覧いただきたいが、ここまでお膳立てが整っているのであれば、個人の創作意欲を満たしたいユーザーは、一太郎2012を選択するのが一番の近道となるだろう。

阿久津良和(Cactus