前述の通り、AtermWM3600Rは、2010年末に発売されたAtermWM3500Rの後継機にあたるモデルで、前機種と比べると大幅にスペックが向上している。最も顕著なのがバッテリーの性能で、本モデルでは連続通信時:最大約10時間、連続待受時:最大約25時間、連続待機時:最大約170時間を実現した。

さらに、電源を入れると15秒ほどで通信が利用可能な状態になる新機能「クイック起動」も、今回のモデルから搭載されることになった。このほか、スイッチ操作を3分間行わないとLEDが自動的に消灯する、一定時間通信を行わないと自動的に省電力モードに移行する、約70%まで充電されると充電が自動で停止する(デフォルトではOFF)機能など、バッテリーをもたせるための配慮も行き届いている。

通信面では、今回新たにWiMAXハイパワーに対応した(最終出力は28dB)。従来の製品に比べて約2倍のハイパワーで電波が出力されているという。これにより、弱電界下でも接続が確立されやすくなった。また、WiMAXの上り通信速度も向上している(最大速度は15.4Mbps)。さらに、エリアに応じて自動的に通信手段が切り替わる新機能も搭載された。例えば外ではWiMAXで、地下では公衆無線LANで通信を行いたいという場合、設定が自動でシームレスに切り替わるため、ユーザーは意識せずとも常に最良な電波の下でWi-Fi通信を行うことができる。

公衆無線LAN接続に対応したので、BBモバイル、UQ Wi-Fi、Wi2、ホットスポットなどと契約をしているユーザーにも利便性が高い

ツール、周辺機器でさらに使いやすく

本モデルではスマートフォン/タブレット端末/パソコン向けに「Aterm WiMAX Tool」「AtermらくらくQRスタート」「Atermらくらく無線スタート」というアプリが用意されている。Aterm WiMAX Toolでは電波強度/電池残量の確認、WiMAXと公衆無線LANのどちらに優先接続をするかの設定などが行えるほか、ルータを休止状態に、あるいは再起動させることができる。例えばAtermWM3600Rがバッグの奥深くに埋まっていてすぐには取り出せない、などのシチュエーションでもスマートフォンでバッテリーのチェックや動作指示が行える。AtermらくらくQRスタートは商品に同梱されているQRコードをスマートフォンで読み込むだけでWi-Fi接続が完了してしまうという機能、Atermらくらく無線スタートは同機能に対応したルータとの接続を簡単に行える機能だ。

Aterm WiMAX Toolの利用画面。電波強度はアンテナの絵で6段階で表示される

Atermらくらく無線スタートのイメージ

また、オプション品として本機には専用クレードル(別売り)が用意されている。同製品は有線LANポートを1基搭載しており、AtermWM3600RをセットすればホームWiMAXルータとしての利用が可能になる。

AtermWM3600Rをセットしてみたところ(写真左)。充電しながらホームWiMAXルータとしても利用できる