カナダのResearch In Motion (RIM)は2月7-8日にかけてオランダのアムステルダムで開発者カンファレンス「BlackBerry DevCon Europe」を開催した。1月末に同社CEOに就任したばかりのThorsten Heins氏が登壇し、BlackBerryワールドの現状と開発者向けの新支援策について説明を行った。
公の場に初登場した新CEOのThorsten Heins氏
以前のレポートでも紹介したように、創業時から同社をリードしてきたMike Lazaridis氏に代わり、経営刷新を目標に新プレジデント兼CEOにThorsten Heins氏が就任している。今回のDevCon Europeは、この新CEOの初お披露目の場ということになる。同氏は独Siemensの出身であり、ドイツを含む欧州はお膝元ともいえる場所だ。ある意味で、CEOとして凱旋したHeins氏が地元の開発者らに協力を依頼しにまわっているという構図に見える。
iOSやAndroidなど後発勢力に押されている印象の強いBlackBerryプラットフォームだが、一時期業界を席巻した人気プラットフォームの実力はいまだ健在であり、ライバルと比較しても魅力的なプラットフォームであることをアピールしてユーザーと開発者を呼び込むことがHeins氏の役割となる。同氏は全世界に7500万のBlackBerryデバイスを使うアクティブユーザーがおり、端末の総販売台数は1億8000万台に到達する一大勢力であることを強調する。またユーザーベースの増加率が全世界で35%なのに対し、中東やアフリカを含む欧州地域(いわゆる"EMEA")では75%と非常に高い成長率を達成しているという。
またスタートしておよそ2年が経過したアプリストアのBlackBerry App Worldは、アプリの増加率が21%、トータルで20億ダウンロードを達成する規模に達したという。アプリストアに関しては「iOSのApp Store以外はマネタイズができていない」といった意見を一蹴し、13%以上のBlackBerryデベロッパーが10万ドル以上をApp Worldから稼ぎ出しているという実績を紹介している。
「PlayBook 2.0」はBlackBerry 10への重要なマイルストーン
そして将来に向けてのロードマップとしては、まずBlackBerry 7、そして今年後半にも登場が見込まれるBlackBerry 10が紹介されている。BlackBerry 7についてはすでに最新端末での搭載がスタートしているが、その最大の特徴の1つはNFC (Near Field Communications)サポートにある。最新の7.1プラットフォームにおけるNFCサポートに言及しており、開発者らにその認知や活用を訴えている。そして次のステップとなるのがQNXで全面的にOSがリフレッシュされたBlackBerry 10で、これやクラウドサービスなどを交えたデバイス間のシームレスな連携がBlackBerryプラットフォームのメリットだと同氏は強調している。現行のPlayBook OSはQNXをベースにした最初のBlackBerry OSであり、ベータ版が提供されているPlayBook 2.0を経て、BlackBerry 10への最終的なマイルストーンとなる重要なステップだという。これにオープンソースの強力なツール群や、コアOS上で動作するAndroidランタイムなど、各種開発者向けの支援機能が用意されており、さらには他のOSプラットフォームの開発者がそのままBlackBerry向けアプリの提供が行えるユニークな特徴がセールスポイントというわけだ。
Heins氏のキーノートでは、昨年プレビューのみが紹介されたPlayBook 2.0の新ユーザーインターフェイスが改めて披露されたほか、「BlackBerry Bridge 2.0」という機能が紹介されている。PlayBook 2.0では既存のツール群のユーザーインターフェイスの刷新が図られている。すでにCESでも一部プレビューが行われているが、Facebook、Twitter、LinkedInといったソーシャルネットワークサービスのアップデートをメールのInboxで一覧できるソーシャル統合、そしてカレンダービューにおける複数ユーザーとの連携など、生産性を向上させるさまざまな試みが行われている。そしてBlackBerry Bridge 2.0だが、これはBlackBerryスマートフォンとPlayBookタブレットを連携するツールだと考えればいいだろう。例えばBlackBerry上の文書や写真をPlayBook上に表示させ、その画面操作や文字入力はBlackBerryスマートフォン上で行うといった「プレゼンテーション」「コントローラ」の使い分けや連携が簡単に行える。応用しだいでちょっとした使い方ができそうだ。