ニコンは7日、有効画素数3,630万画素のCMOSセンサーを搭載したフルサイズのデジタル一眼レフカメラの新モデル「D800」とローパスフィルタを無効化した「D800E」の2機種と、コンパクトデジタルカメラ8機種を発表した。これに合わせて同社は発表会を開催している。

高精細にこだわったD800

「D800」は2012年1月に発表されたフラグシップモデル「D4」をベースに、FXフォーマットとしては世界最高となる3,630万画素のセンサーを搭載したハイアマチュアからプロフェッショナルに向けたモデル。「D800E」は、「D800」と同等の仕様ながら、ローパスフィルタを無効化し、より高い解像感を実現したモデルだ。

ニコンイメージングジャパン 取締役社長 五代厚司氏(中央右)とニコン 映像カンパニー 開発本部長 山本哲也氏(中央左)

「D800」と「D800E」について、ニコンイメージングジャパン 取締役社長 五代厚司氏は、「静止画、動画における圧倒的な高画質を実現した双子のモデル」とし、「われわれの偉大な財産であるニッコールレンズの実力を十分に発揮できる」という。

ニコン 映像カンパニー マーケティング本部 第一マーケティング部ゼネラルマネージャー 笹垣信明氏はD800の開発に当たり、「『いままで世の中になかったような高精細な写真、緻密な表現ができるカメラ』を目指し開発を行ってきた」と話し、高感度特性の向上が図られたD4に対して、D800は高精細・高画質に軸足を置いて開発が進められた様子が窺える。

製品のポジショニングマップ

「D4」と「D800」がカバーする領域

高精細の例。図書館の本1冊1冊まではっきりと見ることができた

常用感度はD4のISO100~ISO12800に対して、D800はISO100~ISO6400。ISO50相当~ISO25600相当への減感・増感も可能となっている。

動画撮影は、大きな映像素子をいかしたボケ味重視のFXベースの動画フォーマットと、映画用35mmフィルムに近いイメージエリアで、撮影が可能なDXベースの画像フォーマットの「マルチエリアモードフルHD D ムービー」といった機能を搭載する。また、撮影した映像はD4と同様に、非圧縮の状態で外部レコーダーへ直接出力することが可能。

動画撮影は2つの撮像範囲に対応

およそ半数の機能が「D4」と同様に搭載されている

D800Eは、D800からローパスフィルタを無効化したモデル。ローパスフィルタを無効化することで、被写体によってはモアレや偽色が発生する可能性はあるものの、奥行きのある空気感や臨場感がある、高解像の画像が実現できるという。

推定市場価格はD800のボディが30万円前後、D800と「AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR」のレンズキットが40万円前後、D800Eのボディが35万円前後となっている。発売日はD800が3月22日、D800Eが4月12日。

「高倍率」と「光学VR」がポイントのコンパクトデジタルカメラ

発表会ではコンパクトデジタルカメラ「COOLPIX」シリーズ8機種も合わせて発表された。今回の「COOLPIX」シリーズは「高倍率」のズームと「光学VR」(手ブレ補正)に注力し製品を展開する。

ニコン 映像カンパニー 開発本部長 山本哲也氏は、「『徹底的にいい写真が撮れるカメラ』という形で今回は「高倍率」と「光学VR」をポイントとしている」という。

42倍の「P510」を筆頭に26倍の「L810」や16倍の「S9300」など、全カテゴリーで高倍率化を追求したという。

手ブレ補正に関して「P510」と「P310」に約4段相当のレンズシフト方式のものを搭載。他の多くのモデルでもレンズシフト方式手ブレ補正機能を搭載する。

「COOLPIX」シリーズのラインナップ

「P510」で撮影したという月の写真。よく見るとクレーターまでしっかりと写っている

それぞれ2月~3月にかけての発売が予定されている。

「D4」の発売日が1カ月延期

一足先に発表となった「D4」について、「全世界で想定を上回る注文をいただき、生産が追いつかず当初の発売日2月16日に十分な製品を用意できない状況」(五代氏)とのことから、発売日が2月16日から3月15日と1カ月延期になることが発表された。