先日webOS事業からの撤退を発表した米Hewlett-Packard (HP)だが、この同社のwebOS資産を台湾HTCが買収を検討しているとの噂が広がっている。MashableがFocus Taiwanの報道を引用して伝えたところによれば、Android関連の係争が続くなか、GoogleがMotorola Mobility買収など自らハードウェア事業に乗り出したことを受け、HTCも独自OSを検討する方向性を打ち出した可能性がある。

これは、Economic Observer of China (経済視察報)のインタビューにHTC会長のCher Wang氏がコメントしたもので、そうした話が内部で進んでいることを明らかにした。同氏によれば、HTCの強みは差別化の部分にあり、異なるOS環境においてもユニークな製品を作り出せる点にある。例えばOSを選ばずに「HTC Sense」のように第2、第3のレイヤー上で付加価値を作り上げ、同じOSを使うライバル他社の製品と差別化を可能にしている。そのため、HTCのフォーカスはOSへの理解を深めることであり、OS自体を所有することには本来はこだわらないというスタンスだ。それにも関わらず、webOS買収が選択肢の1つに入っているのは、従来のこの戦略だけでは将来的に通用しない可能性があることを意識しているのかもしれない。なお、GoogleのMotorola Mobility買収自体には理解を示しており、その理由として「特許問題」を挙げている。

一方でHTCのライバルとなるSamsungでは自社OSの「Bada」をよりプッシュしていく戦略を打ち出しており、実際にAppleによる裁判でドイツの裁判所により同国内でのAndroidタブレット「Galaxy Tab」の排除命令が出た際には、同時期にベルリンで開催されていた家電展示会「IFA 2011」において、Galaxy Tab新製品の展示ブースをすべてBadaベースのスマートフォン「Samsung Wave 3」に置き換えた前例がある。やむなき事情とはいえ、結果的にBadaをアピールする形になった印象だ。今後も、Android端末をリリースする主要各社はGoogleならびに周囲の動きに振り回されるなか、自身の身の振り方について考え直す場面に出くわしそうだ。