打ち上げは肉眼で見るべし
一通りイベントが終わって盛り上がったところで、あとはいよいよ打ち上げを残すのみ。心配だったのは天候。当日は朝から曇っており、打ち上げの確率は依然として30%だったのだが、時間が経つに連れて、現地では所々に青空も見えるようになってきて、見守る人たちの間でも「これは行けそうだぞ」という雰囲気が出てきた。
そして打ち上げの9分前(T-9)、止まっていたカウントダウン・クロックがついに動き出した。天候の急変や機体のトラブルがあれば別だが、ここまで来ると、打ち上げられる可能性がかなり高い。歓声が上がると同時に、緊張も高まる。
カウントダウンは2分前、1分前と順調に進んだが、しかし31秒前で技術的なトラブルによってストップ。今回のミッションは国際宇宙ステーション(ISS)に向かうものであり、そのため打ち上げウィンドウ(打ち上げ可能な時間帯)がかなり狭い(±5分)。筆者あたりは「今日はダメか…」と思い始めていたのだが、しかし2分以上経過してからカウントダウンが再開。ゼロになると同時に固体ロケットブースターに点火し、最後のスペースシャトルは上昇を始めた。
じつは筆者、初めて現地でスペースシャトルの打ち上げを見るにあたって、決めていたことがあった。それは「肉眼で見る」ということ。
筆者が初めてロケットの打ち上げを見たのはH-IIAの初号機だった。このときは単に「遊び」で来ていただけだったので、写真も撮らずにナマで見ていたのだが、迫力に圧倒されて感動した。おそらく、この経験が現在の仕事に繋がっている。
しかし、その後は「仕事」で来ていたために、じつはそれ以降、ロケットの打ち上げは肉眼で見たことがなかった。H-IIBの初号機もファインダー越しでしか見ていない。これだと、どうも何かが違うのだ。多くの人が「ロケットの打ち上げは目で見た方がいい」と勧めるのはそのためだ。
とはいえ、記事にする都合上、全く何も撮影しないというわけにはいかないので、1つのカメラ(カシオ「EX-ZR100」)はワイドのHD録画で放置、もう1つのカメラ(パナソニック「DMC-FZ38」)は連写モードでシャッターを押しっぱなしにして構えていた。多少気は散るが、ワイド側にしておけば、手持ちでも大体枠には入るだろう。
そして10年ぶりに肉眼で見たロケットは、とにかく眩しかった。表現としては「痛い」の方が近いかもしれない。睡眠不足の目のせいなのか(2日連続で2時間しか寝てない)、それともシャトルはいつもこうなのか。残念ながら、それを確かめるチャンスはもうない。