パナソニックは6月2日、高速無線通信規格を策定する業界団体WiGigやIEEE802無線委員会の策定するIEEE802.11adドラフト仕様に対応した、60GHz帯の送受信部とベースバンド処理部から成る、小型モバイル端末向けギガビット無線伝送回路をCMOSプロセスで集積化する技術を開発したことを発表した。

同技術は、WiGigが用いる帯域幅である9GHzに対応しながら、低雑音を実現した独自のマルチバンド電圧制御発振回路技術を採用することで、-95dBc/Hz(離調周波数1MHz)で送受信部を1つのCMOSに集積し、小型化を実現したほか、伝送するデータの信頼性を高めるために不可欠である誤り訂正符号の復号回路を最適化、WiGigで定義された複数の誤り訂正符号に対し、共通の演算器で誤り訂正を行うことによる回路規模削減と動作周波数低減により、消費電力を削減する誤り訂正復号回路技術を採用することで、回路規模を従来比30%以上削減することに成功している。

これにより、従来の無線LANの20倍を超える通信速度を実現しつつ、消費電力は1W以下を実現しているため、低消費電力性が求められるスマートフォンなどの小型モバイル機器で、データ量の多い高精細な動画などの伝送に対応することが可能となるという。