RC版から搭載された新機能

今度は新しい機能をチェックする。Internet Explorer 9 RC版における最大の改良点はトラッキングプロテクション(追跡防止)の搭載。そもそも現在のWebサイトでは、ユーザーの行動に関する情報を取得し、サードパーティサイトに通知する仕組みを持つ広告やコンテンツが増えている。

これに対し、FTC(米連邦取引委員会)やEU(欧州連合)などは、プライバシー保護処置の強化を求めてきたが、Microsoftも重い腰を上げ、ようやくInternet Explorer 9で対応すると発表したのが、昨年末の話。その機能がRC版にて、ようやく実装されたというのが大まかな経緯だ。Internet Explorer 9 RC版では、初期状態でトラッキングプロテクションが無効になっているため、ユーザー自身が事前に有効にしなければならない(図16)。

図16 「アドオンの管理」から<追跡防止>を選択し、「個人用リスト」を選択してから<有効にする>ボタンをクリック。これでトラッキングプロテクションが有効になる

実際にアカウントが使用可能なWebサイトにログオンし、試してみたが、トラッキングを試みるコンテンツに出会えず、個人用追跡防止リストも空のままだった。Microsoftが公開しているTracking Protection Listsを追加することで、トラッキングプロテクションを強化することができるようだ(図17~18)。

図17 Tracking Protection Listsに並ぶ追跡防止リスト。ワンクリックで追加できる

図18 各リストを追加した状態。正式リリース時は国内版のリストが求められる

ちなみにトラッキング機能自体が悪いというわけではない。ユーザーのニーズに応えた広告を発する「行動ターゲッティング広告」も、このトラッキングを使っているため、ビジネスを推進する意味では有益なものである。問題は取得した情報を目的以外に流用している点だ。そのため、トラッキングプロテクション機能でも、ユーザーに選択肢を残しているのだろう(図19)。

図19 検出したトラッキングコンテンツは、個人用追跡防止リストダイアログから取捨選択できる

Internet Explorer 9 RC版の改良点というわけではないが、新機能として注目を集めているHigh-Res Favicon(高解像度ファビコン)やジャンプリストに対応するサイトが増えてきている。前回、同ベータ版のレビューを寄稿したときは、同じMicrosoftが運営しているBingだけだったが、今回はベクターやニコニコ動画、gooやぐるなびといった大手サイトが対応し始めた。特にジャンプリストからのアクセスは利便性が大きく向上するため、各サイトへ頻繁に訪れるユーザーには朗報だろう(図20)。

図20 ニコニコ動画をタスクバーにピン留めすると、ジャンプリストからコンテンツへのアクセスが容易になる

目立たないところではショートカットキーの変更がいくつか加わっている。[Ctrl]+[J]キーによるダウンロードマネージャの起動や、[Ctrl]+[G]キーならサイドバーのフィードが開く。[Ctrl]+[E]キーによるアドレスバーの移動、[Ctrl]+[Shift]+[L]キーなら、クリップボードに登録されたURL文字列を用いて該当ページを開くことが可能になった。これらの機能追加はショートカットキーを多用するキーボード派にとって、Internet Explorer 9の操作性は大きく向上したと言えるだろう(図21~22)。

図21 あらかじめURLに含まれる文字列をクリップボードにコピーしておくと……

図22 IE9上で[Ctrl]+[Shift]+[L]キーを押せば、そのWebサイトに移動する