21日、ダイソンが新製品発表会を東京・南青山のスパイラルホールにて開催。壁一面を、新モデルであるコードレスクリーナー「Dyson Digital Slim DC35 multi floor(ダイソンデジタルスリム DC35 マルチフロア)」で埋め尽くすなど、今回も斬新な演出で来場者を"ダイソンの世界"に誘った。

スパイラルホールのエントランスにも"ダイソン新製品"がはためいていた

「日本のユーザーの要求は高い」

新製品説明のために登壇したのは、デザインエンジニアとして同社初号機からすべての製品の開発に携わるアレックス ノックス氏。1993年のダイソン設立以前からジェームズ ダイソン氏と共に研究開発に勤しむメンバーの一人だ。

新モデル開発にあたり、エンジニアには「高い性能を維持しながら、連続使用時間をのばす、という課題を出しました」とアレックス ノックス氏。手にしているのは、新モデル「ダイソンデジタルスリム DC35 マルチフロア」

ノックス氏は、新モデルであるロングパイプを採用したコードレスクリーナー「ダイソンデジタルスリム DC35 マルチフロア」と、ハンディクリーナー「DC34 モーターヘッド」を前に、「一般的にコードレスクリーナーのフィルターは目詰まりしやすく、それが吸引力の低下につながっています。掃除機のパフォーマンスが低下するということは、より多くのゴミが残されるということです」とコードレスクリーナーの弱点について言及。さらに「日本のユーザーの要求は高く、よりパフォーマンスのよいものを求めています」と話し、それに応えられる製品として、同社の"新顔"をアピールした。

ズラリと並ぶ新製品。ボディカラーにはクロムブルーとサテンパープルが採用されている

両モデルには、高速回転モーター「ダイソン デジタルモーター(DDM)」を採用し、電力の使用方法を工夫することなどで、最大15分間という連続使用時間を実現したのが特徴(従来モデルは10分間)。"5分間"は掃除の時間として捉えると、貴重な進歩といえ、「実際にユーザーからも10分では心許ないという声も寄せられていました。今回、15分という連続使用時間になったことで、より快適に掃除が行えるのでは」と同社スタッフも期待を寄せる。

「DC35」(左)と「DC34」のカットモデル。ダイソン デジタルモーターが組み込まれている

「ダイソンの未来はモーターにある。小型で効率の良いものを今後も提供していく」とノックス氏。開発に10年をかけたという新世代モーターはエネルギー効率に優れているうえ、従来モーターと比較した場合、約30%も軽く、本体の小型軽量化にも貢献する

また、エネルギー効率だけではなく「素材にも効率を求めた結果、DC35ではロングパイプを採用しつつ、約2kgという軽量化を実現しています」(同氏)と説明。秘密はパイプ部分の素材にあり、外側にアルミニウムを、内側にプラスチックを採用することで、「軽さと同時に頑丈さを追求。さらにコンピューター分析を行い、なるべく厚みを抑えることにも成功した」(同氏)という。

ちなみにハイディクリーナー・DC34の重さは約1.5kg。従来モデルから変わらない軽量タイプとなっている。DC34には、ダイソン オンラインストア限定モデルも用意され、付属品の差異はあるが、ピンク系が好みであれば、検討の余地がある(限定モデルのボディカラーはアイアン/サテンフューシャ。フューシャとは"牡丹色"のこと)。

さらにDC35には、2010年9月に発表された小型サイクロン式クリーナー「カーボンファイバーDC26」と同様に、カーボンファイバーブラシも採用。「軽くて強い素材として知られるカーボンファイバーですが、もうひとつの重要な特徴は静電気の発生を抑えること。通常のクリーナーのブラシではフローリング掃除時に、摩擦により静電気が発生してしまい、細かいホコリが床にくっついてしまいます」とノックス氏。カーペット用ナイロンブラシに、カーボンファイバーブラシを加えることで、「床でも、カーペットでもちゃんと機能するものを目指しました」(同氏)。

約2kgなので、男性も女性も楽に持ち上げられる

DC35のクリーナーヘッドは180度回転可能。低いベッドの下に潜りこませることもできるという

ペットの抜け毛にも有効。車のダッシュボードの隙間やシート下にも

他社には真似できないモノづくり

コードレスクリーナーのDC35には、収納用のブラケットが同梱されており、壁かけ収納にも対応するなど新たな試みも。「いつでもすぐに使えるという利便性を求めてブラケットも開発しました。もちろん、我々が大好きなテストもたっぷり行いましたよ」とノックス氏は茶目っ気たっぷりに語る。

収納用ブラケットでも充電が可能。付属するツールも一緒に収納できる

ダイソンといえば、厳しい耐久検査でも知られるメーカー。今回もブラケットの頑丈さを確かめるために「ロボットを使用して、DC35をブラケットに何千回もつけたり、外したりといったテストを行いました」(同氏)。もちろん、DC35本体にも壁にぶつけたり、落下させてみたり…とさまざまな耐久テストを行っているという。

バッテリー部を取り外しての充電にも対応。電源には22.2Vのリチウムイオン充電池を採用しており、「他社製コードレスクリーナーと比較して最大3倍の早さで充電可能」とノックス氏

こだわりすぎるまでの耐久検査をクリアする性能、そして独自技術の確立(コードレスクリーナーに使用されている技術に関する225件の特許を現在、申請中)が同社の強み。「他社には真似できないマシンです」と笑顔で語るノックス氏の姿が印象的だった。

ダイソン製品のある寝室イメージ。"羽根のない扇風機"と比較しても、ハンディクリーナーの小ささがわかる

ダイソン「DC34/35」発表会