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Linuxカーネルの最新版となるLinuxカーネル2.6.37が公開された。ドライバの改善やサポートハードウェアの追加などいつも実施されている内容に加えて、2.6.37では注目されるいくつかの機能が実現されている。特に注目される新機能や開発結果は次のとおり。

  • BKL(Big Kernel Lock)をコアカーネルから完全に排除した初のバージョンとなった。BKLはマルチコア/プロセッサをサポートするもっとも簡単な方法のひとつだが、コア/プロセッサが増えた場合に性能がスケールしにくいという問題がある。LinuxカーネルにおけるBKLをより細かい別のロックに置き換える取り組みが進められ、2.6.37はBKLがコアカーネルから排除された初のバージョンとなった。マルチコア/プロセッサシステムにおけるスケーラビリティの向上が期待できる。
  • Xen Dom0として動作するためのコードをデフォルトでカーネルに取り込んだ初のバージョンとなった。ただしまだ初期段階という状況で、XenのゲストOSがホストのディスクやネットワークにアクセスするためのXenバックエンドドライバは提供されていない。Xenバックエンドドライバは今後の開発で取り込まれることになるが、デフォルトの状態でDom0 (Xenホスト)として動作するコードが取り込まれたことはエンタープライズ用途における採用を容易にする点で注目される。
  • Ext4ファイルシステムが従来よりもブロックレイヤと緊密に連携して動作するようになった。結果として大規模システムにおける性能の改善が期待されており、これまでXFSが採用されていた分野におけるExt4の採用が期待できる。
  • SSDなどのディスクに対して未使用エリアをまとめて通知する機能を実装。パフォーマンスを低下させることなく実施できるという特徴がある。

コアカーネルからBKL (Big Kernel Lock)が完全に排除されたというのは、マルチコア/プロセッサ対応の進捗を示す重要なマイルストーンといえる。ほかのOSも同様にBKLを削除して別のもっと粒度の細かいロックへの置き換えや、構造体や処理手順を工夫してそもそもロックがいらない仕組みへの入れ替えを進めている。

Dom0のサポートがデフォルトで取り込まれたことも注目に値する。Ext4の改善を進め大規模システムにおけるパフォーマンスの向上が期待できることも注目度が高い。エンタープライズ向けのLinuxディストリビューションではこうした機能が取り込まれているが、デフォルトの機能としてLinuxカーネルに取り込まれたことで、従来よりもLinuxをよりエンタープライズ分野で採用しやすくなるとみられる。