実際に利用してみた感想だが、まだまだエリアは狭い。現在のエリアは東名阪の一部地域で、基地局も来年3月末までで東京約800局、名古屋約100局、大阪約100局と少ない。この時点で人口カバー率は約7%だという。

東京・山手線に乗っていても、テストした北側のエリアではHSDPAネットワークにしか接続できなかった。逆に都心部の茅場町や日本橋、大手町と移動してみたところ、LTEサービスに接続できた。サービスエリアは現時点では「面」というよりも「点」で、つながる場所とつながらない場所が連続していない、という印象だ。

ドコモによれば、Xiに優先的に接続される設定になっているとのことで、HSDPAにつながっている状態でLTEエリアに入れば、Xiに自動接続される、はずである。試してみた限り、LTEからHSDPAへのハンドオーバーは確認できたが、その逆は確認できなかった。エリアの境目で詳細にチェックしたわけではないので、単にエリアを外れただけなのかどうかは分からない。ただ、LTEからHSDPAに通信が変わった時に、いったん接続ユーティリティで通信を切断し、改めて接続すると、同じ場所でも再びLTEに接続する場合もあったので謎ではある。

ADSL並みの高速通信

接続できる場所はまだ限られているが、いったんXiに接続していれば、非常に高速な通信が可能だ。実際にスピードテストサイト「BNR スピードテスト」でテストを行ってみた。

調査したのは、原宿、大手町、永田町の3カ所。テストでは大手町で最高速の5.7Mbpsが出て、おおむね3Mbps以上は出るようで、5回試行の平均をとると、原宿で4Mbps、大手町で4.6Mbps、永田町で5Mbpsの速度が出た。

実際に理論値の32.5Mbpsが出ることはないが、それでも5Mbpsまでの速度が出れば、ADSL並みの速度と言っていい。ちなみに、テストではHSDPAでは200kbpsも出ない場合もあり、それに比べれば十分高速だ。

スピードテストだけでなく、YouTubeでのHD動画再生、Ustreamの動画再生など、映像配信系も引っかかりも少なく、快適に再生できた。フルHD動画まで引っかかりなく再生できるかどうかは状況次第という印象もあるが、今後の75Mbpsの増速化が実現すれば、さらに快適にはなるだろう。

現時点では、ドコモのいう大容量、低遅延を生かしたサービスまではテストできていないが、今後のサービスエリア拡大が大きなポイントになるだろう。計画では、2012年度末までに約3,000億円の設備投資を行い、2011年度末までに約5,000局、12年度末までには15,000局まで拡大する計画だ。この時点で人口カバー率は約40%になる予定で、ここまでくると全国主要都市をカバーするそうだ。

ドコモのLTE基地局の展開計画

対応端末は、来年にはモバイル無線LANルーターを投入し、秋ごろにはLTE対応スマートフォンを発売する計画だ。この頃になれば東名阪では利用できるエリアも増え、より実用的になってくると考えられる。現時点であってもADSL並みの速度は出るので、導入を検討しても良さそうだ。