テスト詳細

さて、実際に起動してからの手順である。Basic Editionの場合、実行できるレベルは一種類のみ(Photo13)であるが、Advanced Editionになるとレベルが3種類に増える上(Photo14)、細かく実行条件を設定してのテストも可能である(Photo15)。ちなみにこの画面でEntry/Performance/Extremeの各レベルの設定がどうなっているか、を示したのがPhoto16~18である。このあたりは従来の3DMarkと同じで、テストそのものはどのレベルでも共通で、あとは解像度や描画品質を変えてGPUへの負荷を変更するという仕組みになっている。ちなみにProfessional Editionにはこれに加えてImage Quality Toolが用意されている(Photo19)。

Photo13: 解像度は1280×720pixelで、様々なパラメータも固定である。またベンチマークに先立ち、無条件でデモが実行される"Full 3DMark 11 Experience"のみしか実行できない。

Photo14: Advanced Edition以降は、デモを省きベンチマークだけを実行することも出来る。これだけでも筆者などには大分有り難い。

Photo15: 随分設定項目が増えたという印象。Resolutionは640×480~1920×1200まで18種類、Texture Filtering ModeはBilinear/Trilinear/Anisotropicの3種類が選べる。

Photo16: NetbookというかCULVクラス向けをターゲットとしたと思われるBasic level。それでもTexture FilteringはTrilinearを使うとか、Tessellation Factorが6(一応これが最小)など、それなりに負荷が掛かる仕様である。

Photo17: 通常の環境向けというPerformance level。解像度は高くないが、色々負荷のかかる設定となっている。

Photo18: Extremeはかなり負荷が高くなっているが、それでも最大という訳ではない(Tessellation DetailとかVolumetric Illumination Qualityはもっと上に上げられる)設定。

Photo19: 任意のテストの指定のフレームの画像を保存してくれるというもの。これは実際の描画がどうなっているかをフレーム単位で比較するもので、ドライバ開発者とか、以前は筆者もFSAAの掛かり方だのTexture Filteringの描画品質の差だのを比較するために愛用していた。

さて、実際のテスト項目である。従来までのテストと異なり、3DMark 11は6つのテストを通して3種類(Graphics/Physics/Combined)の値を算出し、この3種類の値から最終的なスコアを出すという方法を採用している。というわけで、この6つのテストを紹介しよう。

Graphics Test 1(Photo20)

Photo20: Deep Seaの最初のシナリオ。スポンサーの1つ、MSIのロゴをつけた深海作業艇が沢山動き回る。

"Deep Sea"シナリオの1つ目。膨大な数のシャドウキャスティングと、スポットライト/ポイントライトを利用したテストで、更にVolumetric illumination(空間光)をノイズ散乱と組み合わせたものである。テッセレーションは未使用。後処理としていくつかのカメラレンズ効果も行っている。(Movie01)

動画
Movie01:

Graphics Test 2(Photo21)

Photo21: 作業艇の数は減り、これに伴い様々なライトの数も随分減った代わりに、この通り被写界深度の処理が加わっている。

"Deep Sea"シナリオの2つ目。Graphics Test 1にテッセレーションを用いた物体表現(建築物や海中の岩、海底など)を加えたほか、後処理に被写界深度も加えている。(Movie02)

動画
Movie02:

Graphics Test 3(Photo22)

Photo22: この写真では見えにくいが、今度はもう一つのスポンサー、ANTECのロゴが付いた車がそこかしこに走り回っている。

"High Temple"シナリオの1つ目。今度は陸上の様々な建築物や植物などにテッセレーションを使い、更に太陽光を指向性光源で表現し、これにVolumetric illuminationを組み合わせたもの。後処理でレンズ効果と被写界深度の処理を行っている。(Movie03)

動画
Movie03:

Graphics Test 4(Photo23)

Photo23: 夜間の様子。石像やなにか生き物っぽいものなどが、手元の明かりで照らされて浮かび上がる感じが表現される。

"High Temple"シナリオの2つ目。今度は夜間ということで太陽光の様な強烈な指向性光源はなく、その分複数の光源を組み合わせる形でのライティングになっている。Volumetric illuminationを使っているのは勿論で、この際に空間深度も考慮しているそうだ。後処理から被写界深度は省かれている模様。(Movie04)

動画
Movie04:

Physics Test(Photo24)

Photo24: モデル自体は多少簡略化され、個々のコンポーネントは剛体で、若干ジョイントが用いられる程度。

こちらは物理計算のテストで、これのみ解像度固定(800×600)で実施される。内容はというと物体の衝突に伴う崩壊をGPUでエミュレーションするもの。物理エンジンにはオープンソースのBullet Physicsが採用されている。(Movie05)

動画
Movie05:

Combined Test(Photo25)

Photo25: 明かに一番負荷が掛かる様に設計されているテスト。

全部入り、がこちらである。今度は物理計算にはGPUとCPUの両方が使われている。具体的には、柱などの剛体はCPU、旗などのソフトボディはGPUが物理計算を行っている。またVolumetric illuminationやテッセレーションなどもフルに使われている。(Movie06)

動画
Movie06:

Demo

一連のテストには全く無関係だが、Basic Editionの場合はこのデモを毎回見ることになる。なお一連のテストは無音だが、このDemoにはちゃんと音楽がついている。(Movie07)

動画
Movie07: