次いで話は制御系に移った。大きなトレンドとして組み込み向けプロセッサの普及が著しく(Photo15)、これに伴いこれらのプロセッサの制御コードがさらに増えつつある(Photo16)。この結果として、SoS(System on System)が今後は広く使われるようになるとしている。こうなってくると、早いタイミングでMBDを採用するとともに、もっと効率的なコード生成やテスト/検証が必要になってくる(Photo17)。当然MATLABはこうした事に対応しているわけだが、今回はMATLABがISO 26262:TUV SUDの認証を受けた(Photo18)事や、要求→モデル→実装のリンク付け/チレーサビリティを提供する事(Photo19)、Simulink Design Verifierの追加により、早い状態で機能検証やテストを可能にしており(Photo20)、日産はこれを利用して成果を上げた事(Photo21)、コード生成の分野ではAUTOSARに準拠したコード生成をR2010bで対応しており、仏Valeoは実際にこれでエンジンマネジメントシステムのコード生成を行ったそうだ(Photo22)。
Photo15:どこまでを組み込み向けプロセッサに含めるか、で多少数字が変わるが、概ね一致した傾向である。今後はPC向けとのギャップがさらに大きくなると予測されていることも同じだ |
Photo16:プログラムコードが肥大化する例。要するに各システムにそれぞれ制御コードが必要で、さらにこれら全体を協調させて大きなシステムとして動かすためのコードが必要になるから、累算するとこんなことに |
Photo17:典型的なMBDの構図。これらをどこまで自動化できるか、がMBDでは1つの鍵となってくる |
Photo18:ISO 26262は自動車専用の機能安全規格。TUV SUDは第三者認証機関で、ここが認証サービスを提供している。MATLABがこれの認証を取得したことで、MATLABを利用して開発したシステムのISO 26262の認証取得が容易になる、という話である |
Photo19:これはR2010bで追加された。これ関してはIECのCertification Kitが提供されるとの事 |
Photo20:通常のカバレージ要求とは異なる観点で検証を行うことが可能になる |
Photo21:具体的な数字はなかったが、日産本体とサプライヤの両方で大きく品質改善に効果があったとされた。R2010bで追加されたPolyspace Metricsツールでソフトウェアの改善率を明確に示せる様になったことも大きかったそうだ |
Photo22:単にソースコードだけでなく、必要なドキュメント類の生成や、生成コードの再利用に関しても有益だったという |
またWolfson Microelectronicsも自社製品にこれを適用して大きな効果があったという(Photo23)。またASICのみならずFPGAの設計にもSimulinkが対応した(Photo24)ことも紹介されたほか、IEC61131準拠の構造化テキスト生成にもR2010aで対応しており、これで同じモデルからソースコードとテストシステムが同時に生成できる様になったという(Photo25)。AVLはこれで大幅なコスト削減が実際に行えたそうだ(Photo26)。
Photo23:ここでは、カバレッジ100%のテストが実現できたことが大きく紹介された |
Photo24:HDLコード生成では、FPGAのデザインフローの全過程をサポートするという。R2010aではまずXilinx、R2010bではAlteraに対応したとの事だ |
こうした特長から、最近はアカデミックな場所でも利用されるようになった、ということでいくつかの教育機関でMBDを取り上げ始めた事にまず触れた後、例としてETロボコンにMATLABを使った例がビデオで紹介された(Photo27)。
最後に改めて2010年におけるハイライトをまとめて(Photo28)、氏の講演は終了した。