テッセレーションステージの"明"と"暗"

「テッセレーションステージの積極活用」という、非常にチャレンジング試みを行ったWindows版「ロストプラネット2」だが、開発チームは、今回の実装で、この機能の、いくつかの"明暗"を見たようだ。

"明"といえるのは、まず、DirectX 9ベースのPS3、Xbox360と言った家庭用機のリソースをほぼそのまま引き継ぎつつも、DirectX 11のテッセレーションステージをそれなりに効果的に見せられる……という部分だ。今回のテッセレーションステージは、これまでの各社GPUの独自機能ではなく、DirectX 11の標準仕様として提供されるため、それなりに時間とコストを割いて対応しても、そこで培われた技術は、今後長く活用できるだろうという安心感がある。今後、ロストプラネット2のような「DirectX 9ベースゲームのクオリティアップ手段」でのテッセレーションステージ活用は、他のスタジオにも波及するに違いない。

"暗"といえるのは、DirectX 9ベースのゲームもジオメトリクオリティはそれなりに高く作られているため、テッセレーションステージを活用しなくても、それなりに見栄えがよく、費用対効果の面では「旨味が薄い」という点。ロストプラネット2でも、ディスプレースメントマッピングについては、開発チーム自身がその効果の分かりづらさについて疑問を投げかけていた。

本格的な活用は、LODシステムの根幹にテッセレーションやディスプレースメントマッピングの仕組みを組み込んでしまうことだが、主流のゲームプラットフォームが、どうしてもPS3、Xbox 360というDirectX 9世代である現状では難しいところだ。

登壇した石田氏も、セッションのまとめにおいて「テッセレーションステージの本格活用は、家庭用機が次世代アーキテクチャに進化して以降からだろう」という展望を語っていた。

とはいえ、現状、ここまでDirectX 11のテッセレーションステージをヘビーに活用したタイトルはないため、今後、しばらくは、このロストプラネット2がDirectX 11テッセレーションステージを活用したゲームグラフィックスのベンチマーク的存在となり続けることは間違いない。

後編は、Windows版ロストプラネット2におけるDirectX 11・CopmuteShaderの活用についての話題をレポートする。

テッセレーションステージの明暗

(トライゼット西川善司)