最近、健康ブームに乗って自転車利用が見直されつつあるが、こうした動きは車社会の米国においても同様だ。週末のレジャーだけでなく、日々の通勤通学にも自転車の活用が広がっている。ガジェットギークの立場からすれば、こうした自転車での行動をITと組み合わせることで、よりサイクリングを楽しめないかと考えるのも自然な流れだろう。米Appleが登録申請し、8月5日(現地時間)に公開された特許案では、自転車や体に取り付けたセンサーとiPhone/iPodのような機器を組み合わせることで、行程やスピード・心拍数などを記録するとともに、自転車を軸にしたソーシャルネットワークを構築する仕組みが提案されている。

同特許はもともと2009年2月に申請されたもので、申請番号は「20100198453」となっており、米特許商標局のサイトで内容が確認できる。特許案のタイトルは「Systems and Methods for Integrating a Portable Electronic Device with a Bicycle」となっており、モバイルデバイスと自転車を組み合わせる手法とそのシステムが記されている。図版を含む詳細はPatently Appleの記事に詳しい。

特許の内容を端的にいってしまえば、Nike+iPodの自転車版だといえるだろう。複数のセンサーがセットされた自転車を用意し、そのデータをiPodのようなデバイスが収集してリアルタイムまたは集計結果として表示するというものだ。ここにはスピードや心拍数、移動の軌跡などのデータが逐次記録され、自身のサイクリング計画に役立てることができる。iPodは記録デバイス兼ディスプレイといった感じだ。iPhoneのようにGPSや3G通信機能を持つデバイスであれば、ナビゲーション的なものとしても利用できるだろう。

だが今回の特許のポイントはむしろ、通信機能を利用したソーシャルネットワーク的な部分にあると考えられる。コースデータやプロフィールは複数のユーザーで共有することが可能になっており、一種のチームを組むことができる。チーム内でデータを共有し、コースを考えたり、移動中の仲間の位置や疲労状況を把握することも可能だ。またSNS的な部分として、互いにメッセージ交換を行ったりと、iPhone/iPodをソーシャルデバイスとして利用できる。Nike+iPodが個人のトレーニングツールなのに対し、こちらは自転車を軸としたソーシャルツールなのだ。