マイコミジャーナルの連載でもおなじみの佐々木正悟氏が講師

iPhone/iPadといったデバイスを持っていても、仕事にうまく活用できている人はいったいどのくらいいるのだろうか。7月23日にアップルストア銀座で行なわれたストアイベント『ビジネスハックス:iPhone/iPad活用術』では、心理学ジャーナリストの佐々木正悟氏らがiPhone/iPadのビジネスへの活用法について講演した。本稿では、この2つのデバイスを活用して、効率的に仕事を進めるコツを披露した佐々木氏にフォーカスしてレポートする。

iPhone/iPadは仕事をどう変えたか

iPhone/iPadといったデバイスの登場で、佐々木氏の仕事ぶりはどう変わったのだろうか。同氏は、自分の書斎を持ち歩き、同じ資料を使って、場所を問わず仕事ができるようになったという。

この「書斎を持ち歩く」という表現は決して大げさではない。佐々木氏は、情報管理ツール『Evernote』にPDF化した資料や画像、音声メモなどあらゆる情報を詰め込み、どこにいても仕事に取り掛かれるようにしているとのことだ。

タスクを把握する

仕事に関わる資料をiPhone/iPadに詰め込み、いつでも活用できるようにする──それ自体に目新しさはないが、興味深いのはここから先の話である。こうしたデバイスを活用して、「自分が今、何に取り組むのか」を細かく把握していくことで、後回しにしてしまう仕事を減らせるというのだ。

細かくタスク細分化して入力する

それを実践するために活用しているのが、タスク管理ソフトの『Toodledo』である。2時間ごとに区切ったタスクを記載し、iPhone/iPadと連携させてタスクを把握。タスクというのは、仕事ばかりではなく、朝のシャワータイムやコーヒーブレイクの時間、夕食の時間など、一日に必要なあらゆる行動であり、それらをすべてタスクとして記入しているのだ。

タスク入力時の秘訣

タスクを入力する際には秘訣がある。それは、あるひとつのタスク完了までにかかる平均時間をあらかじめ算出しておくことである。それを合算することで、1日で何時間何分あれば、すべてのタスクをこなせるのかがわかるようになる。

さらには、各タスクの平均時間を出すことでムダな時間をなくなるという。たとえば、原稿を書く仕事があったとする。書くべき内容や構成などが固まっていれば、書き出すのは比較的楽になるが、なかなかそういかないことも多い。同氏の手法によると、「書き出すまでに悩んだ時間」の平均時間を仮に15分とすると、その間に悩むことは必要なものとみなし、それ以上悩むとムダな時間だと判別するようにしているという。

このようにしてタスクを実行していくことで、「一つひとつのタスクを自分のそのときの気分に合わせて組み替えていっても、すべてのタスクを1日で終わらせることが可能です。その流れに乗ってさえいれば、仕事もデッドライン前に終わらせることができます」(佐々木氏)。また、仮に一日で完了できなかったタスクがあっても、「自分はこのタスクを30日先まで見積もっています。どうしても今日中に終えられなかったら、明日にタスクを送ることもできますし、最終的には基本的な帳尻を合わせることができるんです」。

自分の時間の使い方を見直したときに、ムダな時間を費やしていることにはけっこう気づきにくいもの。佐々木氏のように、やるべき仕事とそれに必要な時間を明確にし、iPhone/iPadで逐一タスクを把握していくだけでも、余分な時間を相当そぎ落とすことができそうである。この手法を実践するには、はじめは根気がいりそうだが、効率的に仕事をこなしていくには欠かせないやり方だと言えるのではないだろうか。