原研哉、永原康史両氏が毎回、さまざまな分野の専門家を招き、オンスクリーンでのタイポグラフィを考える会「言葉のデザイン2010」。東京ミッドタウン内のインターナショナル・デザイン・リエゾンセンターで行われた第一回は、Web環境、iPhoneアプリ環境での文字表現について学ぶ会となった。

5月28日(金)、社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)が主催する「言葉のデザイン2010-オンスクリーン・タイポグラフィを考える」第1回の研究会が開催された。ディレクターは原研哉と永原康史。原は開催のきっかけをこう語った。

「ウェブ上のタイポグラフィはまだまだ未成熟ではないか。とりわけ日本語環境の表現においてはそんなふうに考えていましたが、永原さんから、それは原さんの認識不足ではないかという指摘を受けました。こうした問題意識を、多くのグラフィックデザイナーとともに一度きちんと知識を共有しておきたいということから、研究会を立ち上げる運びとなりました」(原)

永原は、ペーパーメディアと、現在、急速に普及しつつあるオンスクリーン・メディアを、同じデジタル技術のアウトプットとした上で、比較対照した。

「いま、iPhoneやiPad、あるいはKindleのようなかたちで、アウトプットが多様化してきました。グラフィックデザイナーは、紙の特性を見極めながら、デザインを考えてきましたが、それと同じように、オンスクリーン・メディアの性質を考慮し、新たなデザインを模索する必要があるのではないでしょうか」(永原)

こうした問題設定を受け、アライアンス・ポートと物書堂が、それぞれ事例報告を行った。