大きな特徴を持ったマシンは、その分だけ欠点も出やすい。小さくて、軽くて、大画面で、高機能で、安い、というような夢のマシンの実現は難しい。あちらを立てればこちらが立たず、となるのが当たり前なのだ。突出した特徴を持つモデルは、十分PCを使いこなせるベテランユーザーにとっては割り切って使う選択肢になったり、夢の高機能マシンになったりもするのだが、一般的なユーザーにとっては使いづらい。

オフィスや家庭で利用する一般的なユーザーが求めているのは、何でもそこそこ快適にできて扱いやすいモデルだ。それが「メインストリーム」と呼ばれるカテゴリだ。「Inspiron 15R」は、その「メインストリーム」のど真ん中ともいえるモデルになっている。

15.6インチのディスプレイを搭載したボディは、トップカバーとパームレスト部がつや消しのメタル調で、ヘアライン加工が施されている。ディスプレイ周囲はつやのある黒で、ディスプレイもグレアタイプだ。ギラギラしないつや感という、現在の流行を押さえたデザインで、最安のパッケージならば79,980円で購入できるが安っぽくは見えない。

トップカバーは、マーズ・ブラック、トマト・レッド、ピーコック・ブルー、ロータス・ピンクの4色が用意されている。今回試用したモデルはロータス・ピンクだが、赤が強めのピンクで甘さが少なく、若い女性でなくても持ちやすいカラーだった。つや消しであることもあいまって、派手な色ながら落ち着いた雰囲気にまとまっている。

赤みがつよいピンクの「ロータス・ピンク」

トップカバーが底部よりも小さいデザイン

併売される「Inspiron 15」とのスペック面での違いは、チップセットと、HDDの選択肢に640GBモデルが、光学ドライブの選択肢にBlu-rayコンボドライブが加わっていること、Bluetooth機能の搭載が可能であることだ。CPUの選択肢などに変化はなく、ユーザーとしては選択が難しい。Blu-rayコンボドライブが必要かどうかが最も大きな分かれ目になりそうだ。

外観デザインもInspiron 15とは違っているが、目立ってちがうのはタッチパッドがパームレスト部と一体化した構造ではなくなったことと、ディスプレイヒンジ部の構造だ。特にヒンジは、Inspiron 15が本体外側へ回り込むようなヘアラインカーブのデザインを採用していたのに対して、Inspiron 15Rでは本体の上にディスプレイが乗るようなタイプへと変わった。Inspiron 15Rではディスプレイを閉じている状態でキーボード奥の部分が露出した形になり、トップカバーがヒンジにかぶらないデザインとなったことで、スッキリとした外観になっている。こうしたデザインの違いも、選択のポイントになる。

ディスプレイを開くと、キーボード面に乗るような形になる