ついに出現したiAd! その様子を追いかける

そんなふうにiAdの広告探しで右往左往しているうち、丸1日が過ぎてしまった。筆者も移動の予定があり、2日朝に乗っていた飛行機の中でiPhoneを操作していたところ、偶然Mirrorアプリの中にiAdバナーの出現を確認できた。メニュー画面にせり出す形でバナーが出ており、普段は隠れているということがわかる。これをクリックすると、下記のYouTubeの動画デモにもあるような「日産Leaf」の広告が出現した。

まずはレビューと題して、筆者のiAd広告に対するファーストインプレッションを紹介しよう。出現確率の異様な低さは置いておくとして、まず気になったのは広告の重さだ。各メニューの動作が非常に緩慢で、iAd広告開始のためのロード時間が筆者のケースで30秒弱近くかかった。この日産Leafの広告はサイズ的には数百KB~数MB程度だとみられるが、ロード時間を考えると、バナーをクリックするには、携帯電話からではけっこう決断力の必要なボリュームだ。かなりターゲットを絞った状態で、その広告に興味を持つユーザーでなければクリックを促すのは難しいだろう。

ついに出現したiAdのバナー。これは「Mirror」アプリのものだ。表示されたのは日産Leafの広告で、これをクリックすると……

画面がクリアされ、下側にロードの進行状況を示すバーが出現し、ロードが開始される。ロード中もアニメが順次再生されており、たまに止まると「Q」の字が出現してQuickTimeで再生されていることがうかがえる。左上の「×」をクリックすることでいつでもiAdは終了できる

iAdがフルロードされた状態。このままアニメーションが進行し、メニュー画面へと移動する

これがメインメニュー。車をさまざまな角度から眺めつつ、メニューを選択する

もう1つは広告自体の動作の遅さだ。確かにリッチなアニメーションや3D表示されるメニュー、インタビュー動画などが表示されるのはすごいが、処理が若干追いついていない印象を受けた。使用しているのはiPhone 4なので、パフォーマンス的にはほぼ最高速のはずだが、画面をタップしても認識されなかったり、指の動きに操作が追いついてこなかったりなど、操作面でストレスを感じた。また、動画などが普通に流れているが、こうした広告にネットワーク帯域を多く食われることについて、どこまで許容されるのかが気になるところだ。特にAT&TはiPhone 4のローンチに合わせて「データ通信の従量制への移行」を表明しており、あまりにリッチな広告が今後多数出現することで、結果的にユーザーの負担を増やす可能性もある。

このほかには、iAd自体の問題かiAdを組み込んだアプリの問題かはわからないが、非常にクラッシュが多い。例えば上記で挙げた4つのサンプルアプリは、どれもかなり高確率で突然クラッシュする。また米国外での利用(例えば日本)では、ShowtimesやMunchは起動直後に必ずクラッシュする。両アプリともに位置情報を取得しており、これがクラッシュの原因の可能性がある。

筆者のiAdに対する感想はこんなところだが、まだサンプルを1つしか見ていないため、これが全体の傾向かはわからない。やや否定的なコメントが多くなってしまったものの、実際に日産Leafの広告は「アプリ内での動作」という縛りがありながらも、よく作り込まれている印象だ。ただスマートフォン、ひいてはiPhone 4のスペックに満たないマシンで動作させるには若干荷が重いというところだ。このあたりは、今後技術が向上し、ユーザー側のニーズが把握されることで、徐々に修正されていくものだと考えている。また前述のように、iAd自体のローンチが全体に夏以降にずれこんでいることもあり、本格的な稼働は秋以降に持ち越しとなるだろう。そのころにはiPad向けのiOS 4の提供も開始され、広告プラットフォームとしての真の能力を発揮していくことになるかもしれない。

このように、個別項目には凝ったスロット式のメニューが用意されていたりする。動画も用意されており、日産Leafのケースでは自転車ロードレースで有名なランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏へのインタビュー動画が表示される

登録フォームに必要事項を記入すると、さらに詳細な情報がメールで送信されてくる。このほか、新車が当たる懸賞サービスなども実施されており、広告1つからさまざまな情報が入手できるようになっている。携帯を通じた一種の個別キャンペーンといった感じだ