金属の質感が強調されたクールなボディ

本製品のそのほかの特徴をコメントおよび写真で紹介しておきたい。本製品は1366×768ドットの解像度を持つ13.3型LED液晶を搭載するノートPCで、重量はバッテリ装着時で約2.1kgとされている。持ち運び可能なサイズではあるが、本格的にモバイル製品と呼ぶには2.1kgは重く感じられる。

外観は金属の質感を大事にしているようで、天板やキーボード周辺などはヘアライン加工がされたアルミ素材が用いられている。10万円以下のCore i5ノートと安価な製品ではあるが、見た目にチープな雰囲気がないのは好ましいところだ。

天板やパームレスト部分はアルミニウムを用いたデザインとなっている

その意味では、キーが独立したいわゆるアイソレーションタイプのキーボードを採用している点や、タッチパッドのボタンを左右一体型デザインにしたのも見た目の良さに貢献しているかも知れない。

キーボード配列は標準的で、カーソル脇にもちゃんと[Fn]キーを備えているのはPgUp/PgDown操作をするうえで便利だ。ただ、ちょっとクセがあるキーボードなのも事実で、一つはカーソルキーがほかのキーに紛れて操作ミスが増えがちになる点。もう一つは、右下の「る」「め」「ろ」といったキーが小さくなってしまっている点だ。全体的にはキーが大きく余裕のあるキー配列なのだが、その感覚で右下のキーをタイプしようとして入力ミスを起こしてしまった。悪くない作りなのだが、配置にもう一工夫が欲しかった印象が残った日本語キーボードである。

キーボードはアイソレーションタイプ。全体にゆとりのある配置ではあるが、右下の一部キーが小さくなっているのが惜しい

タッチパッドはマルチタッチに対応。感度や操作時のすべりも良好で、こちらは好印象。左右一体型のボタンも押しやすく設計されており、不満は感じなかった。

タッチパッドは滑りもよく使いやすい。ボタンは左右が一体化したもので、ここも金属の質感を出している

インタフェース類は主に左右側面に配置されており、無線LANスイッチとカードリーダのみが前面に備わっている格好だ。また本製品は厚み20~29.9mmとわりと薄めのノートPCながら2スピンドルノートであり、右側面にDVDスーパーマルチドライブを内蔵する。先にモバイルにしては2.1kgはやや重いと書いたが、10万円以下の価格、2スピンドル、この重量ということを兼ね備えていることに価値はあるだろう。

本体左側面のインタフェースは、オーディオ入出力、USB×2、HDMI、D-Sub15ピンとなっている。放熱孔がこちら側にあるが3Dゲーム実行中などは熱い空気が出てくるので、モノを置くさいには気をつけたい

本体右側面のインタフェースはUSB、LAN、電源の三つ。DVDスーパーマルチドライブもこちら側に内蔵している

本体左手前には無線LANのスイッチを備える

本体手前中央部には各種インジケータとMS/SD対応のカードスロットを備えている

液晶の上には30万画素Webカメラを内蔵している

スピーカはAltec Lansing製のステレオスピーカーを採用している

バッテリは本体背面側に装着。15V/5600mAhの8セルタイプを使っている

ACアダプタは極端に大きいものではないが、モバイル用としては大きめ

底面のカバーを外すと、HDDとメモリへアクセスできる。メモリは2スロットを備えているが、出荷時は2GBモジュールが1枚のみ挿さった状態となっている

ASUSTeKの独自ツール「ControlDeck」はグラフィカルなユーザーインタフェースで輝度や音量などの設定変更が可能

Power4Gear Hybridは細かな省電力設定をプロファイルとして保存しておける。そして、AC・バッテリ駆動を自動判別して切り替えることもできる

Fast BootはWindowsブート時に実行されるプログラムやサービスを遅延実行することで、Windowsをユーザがとりあえず操作できる状態になるまでの時間を短縮するもの

最後に、他のレビュー記事と比較できるように、ベンチマークを実行した結果を紹介しておく。ここではOptimus Technoogyによる任意のGPU切り替えを行わずに、NVIDIAのプロファイルに従った動作をさせている。結果は3DMark06はGeForce 310M、PCMark05とPCMark VantageはCPU内蔵グラフィックスで実行されている。

■3DMark06 Build 1.2.0
(1366×768ドット)
3DMarks 3607
SM2.0 Test 1374
HDR/SM3.0 Test 1304
CPU Test 2574
■PCMark05 Build 1.2.0
PCMark 5606
CPU 6556
Memory 5557
Graphics 2596
HDD 5252
■PCMark Vantage Build 1.0.1
PCMark 5089
Memories 2996
TV and Movies 3427
Gaming 3098
Music 5233
Communications 4290
Productivity 4376
HDD 3293

3DMark06のSM2.0やHDR/SM3.0のテスト結果が、CPU内蔵GPUを用いると三桁のオーダーであるのに対して、1000超えの数字を出しているあたりはGeForce 310Mを搭載した利点といえるだろう。

PCMark05/Vantageは、Core i5-430Mを搭載したノートPCとしては、やや物足りない部分もある。とくにPCMark05のメモリスコアが伸び悩んでいる印象であるが、標準状態ではSO-DIMMを1枚のみ搭載したシングルチャネル構成であることが影響しているのだろう。ポテンシャルを活かし切れていないわけだ。もっとも、Core i5世代のPCだけに、その前の世代のモバイルノートPCと比べれば高い性能を持っているのも事実だ。

Optimus Technologyによる、統合型グラフィックスを採用したノートPCにプラスアルファの性能を持つ点に目が留まる本製品。その点以外に、ここがスゴイ! と特筆しようと思うところもない一方、製品としてここが致命的! と思う部分もない。ありきたりな言葉にはなるが、欠点の少ないバランスの良さが魅力だろう。もちろん10万円以下という価格や13.3型という手ごろなサイズも魅力で、日常作業に使う実用的なノートPCを求めるさいに候補に挙げたい製品といえる。

型番 U30Jc
CPU Intel Core i5-430M(2.26GHz、TurboBoost時最大2.53GHz)
チップセット Intel HM55 Express
メモリ PC3-8500 2GB×1(空きスロット×1、最大8GB)
HDD 320GB(5,400rpm)
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
グラフィックス Intel HD Graphics/GeForce 310M
ディスプレイ 13.3型ワイドTFTカラー液晶(LEDバックライト)
オーディオ HDオーディオ
ネットワーク 1000BASE-T/100Base-T/10Base-T×1、IEEE802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR
インタフェース D-Sub15ピン、HDMI、オーディオ入出力、USB2.0×3、SD/MSスロット
バッテリ駆動時間 約9.1時間
サイズ/重量 W328×D238×H20.0~29.9mm/約2.1kg
OS Windows 7 Home Premium 64bit 日本語版