バックアップデータからコンピュータを起動
バックアップデータの有効活用には様々な方法があり、ここ近年はバックアップデータをマウントさせて、直接ファイルを参照することが可能になったが、HD革命BackUp10で特筆すべきが、この有効活用方法。新たにバックアップデータからコンピュータを起動する「バックアップファイル変換ツール」を備えた。
ただし使用するにはいくつかの条件がある。一つめがバックアップファイルの内容。HD革命BackUpバージョン5から10で作成したホストドライブを対象にしたバックアップファイルであること。もう一つがバックアップファイルの保存場所。通常バックアップファイルはホストドライブ(Windows OSが起動するドライブ)とは物理的に異なる場所に作成するのが一般的だが、同機能を使用するには、バックアップデータが物理的に同一のドライブに存在しなくてはならない。
例えばディスク0を二つのパーティションで切り分け、それぞれC、Dとドライブ文字が割り当てられたとする。この場合Dドライブにバックアップデータが存在する場合は対応可能だが、ディスク1(物理的に異なるHDD)に保存されている場合は対応不可能だ。
条件ではなく注意点も述べておこう。イメージファイルブートから起動したWindows OSは普段と同じように使用可能だが、基本的にバックアップファイルに対する書き換えは行なわれないため、読み取り専用となる。そのため、バックアップデータから起動したWindows OSでは、操作した変更内容を一時的に保管する「イメージファイルブート監視プログラム」が常駐し、その作業領域容量がなくなると、コンピュータを再起動しなくてはならない。
もう一つはMBR(マスターブートレコード)を書き換える点。物理HDDの先頭領域を書き換え、起動ディスクの順番を入れ替えるため、MBRやブートセクタ領域を書き換えるマルチブートユーティリティソフトとの併用は事実上できないことになる。また、SCSIやRAIDといった環境でもデバイスドライバの組み合わせにより、動作しない可能性も。このあたりの諸条件はあらかじめマニュアルに列挙されているので参照して欲しい(図11)。
図11 MBRの構成が通常と異なる場合、操作時に警告ダイアログが起動する。強制的に試してみたがイメージファイルブートは実行できなかった |
一見すると意味のない機能とも取れるが、仮想環境ソフトウェア上でWindows OSを実行するには、ゲストOSに割り当てるためのハードウェアリソースが大きく、パワフルなコンピュータを用意しなければならない。だが、イメージファイルブート機能は、バックアップデータを使用した一種の仮想環境であると同時に、前述した読み取り専用となるため、ハードウェアリソースをフル活用した実験環境が手に入ると言っても過言ではないだろう。
なお、同様のロジックを使用し、コンピュータ起動時にあらかじめ作成したバックアップファイルからホストドライブを復元させる「ブートリカバリー」機能も用意されているため、自身が使いやすい方法を用いて欲しい(図12~18)。
図15 「イメージファイルブートの設定」ダイアログが起動したら、<設定開始>ボタンで設定操作が自動的に行なわれる |
図16 <詳細>ボタンをクリックすれば、作業ファイルの容量や起動ドライブの変更が可能になる |
図17 設定操作は数十秒で完了し、コンピュータの再起動をうながすダイアログが起動する。<はい>ボタンをクリックしてイメージファイルブートを実行しよう |