バックアップデータをVHD形式に変換可能
最近では、Windows 7の上位エディションにも標準搭載されたように、仮想環境ソフトウェアの認知度は高まっている。物理環境のディスクイメージを仮想化するサポートツールの存在をかんがみれば、既存環境と実験操作を行なう仮想環境という二本立ては、一般ユーザーも享受すべき利用方法と言えるだろう。HD革命BackUp10では、この点に着目し、バックアップデータから仮想環境用の仮想HDDファイルに変換する「バックアップファイル変換ツール」を備えた。
具体的にはWindows Virtual PCやるHyper-V環境で使用するVHD(Virtual Hard Disk)形式に変換するというものだ。これは、Microsoftがサードパーティ向けに公開したVHD Image Format Specificationが功を奏しているのだろう。
変換操作はウィザード形式で簡単だが、変換後のVHDファイルは、バックアップ元のパーティションサイズと同じサイズとなる。例えば、バックアップ元のパーティションサイズが40GBだった場合、変換後のVHDファイルサイズも40GBとなるため、保存先は空き容量に余裕のあるボリュームを選択しなければならない(図19~21)。
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図21 確認をうながすダイアログが起動したら<はい>ボタンをクリックして変換を実行する。 |
変換後のVHDファイルはWindows Virtual PCなどで選択すれば、ベースとなる仮想環境を容易に作成できるのはもちろん、Windows 7の上位エディションであれば、VHDファイルを使用したコンピュータ起動も可能なため、様々な場面に活用できるだろう(図22~23)。
バックアップデータの有効活用
序盤で述べたように、単なるバックアップ&リストアツールであれば、Windows OSの標準の機能を用いればよい。だが、バックアップデータを単なる待避データとしてではなく、実験環境として用いる場合やVHD形式への変換など、バックアップデータを有効活用するのであれば、本製品を選択する意義は大きいだろう。
今回は新バージョンということもあり、新たな機能にのみピックアップしてきたが、定評のある各機能は従来どおり。バックアップデータの圧縮やパスワードによる保護。ドライブの差分バックアップ機能などを兼ね備えているため、HD革命BackUpシリーズを使ってきたユーザーであれば、バージョンアップする価値があるはずだ。
なお、今回のHD革命BackUp10では、機能や構成によって異なる三種類のパッケージが用意されている。今回試用した「HD革命/BackUp Ver.10」に加え、パーティション操作ソフトをセットにした「HD革命/BackUp Ver.10 with Partition EX」と、CDドライブからのみ起動可能な「HD革命/BackUp CD起動版」を用意。
それぞれ価格差もあるため、どのパッケージがお勧めと断言できないが、OSの再インストールやパーティションの再構成を行なう頻度が高い場合は、「HD革命/BackUp Ver.10 with Partition EX」を。単純なバックアップと復元機能のみ必要ながらも、NASなどネットワーク上の共有フォルダにバックアップデータを保存したい場合は「HD革命/BackUp CD起動版」が現実的な選択肢となるだろう。