飽和市場、新興成長市場を問わず強い存在感を示しているエイサーが、PCベンダーという枠組みを超えつつある。
いまや世界のノートブック市場におけるシェアはNo.1。デスクトップを加えたPC全体の市場でもシェアNo.2と、急速に成長を遂げてきた同社は5月27日、中国・北京にてプレスカンファレンス「source home 2010」を開催。今後のエイサーの動向を占うであろう3つの戦略について発表を行った。
エイサーによるとPCのコモディティ化は、ユーザーが購入する際の動機や、セレクトする際の評価基準を変えてしまい、すでに技術の進歩がPCにおける主なセールスポイントではなくなったという。一方で、数多くのデバイス機器が家庭に入り込んでおり、多様なコンテンツを相互に楽しむにはヒトと技術の間に溝があるとしている。そうした背景もありつつ、北京では「Acer Clear.fi」というコンセプトを軸としたハードウェア&ソフトウェアが発表される運びとなった。
エイサー社長のGianfranco Lanci氏と、同会長のJ.T. Wang氏。Gartner調査によると、ノートブック市場ではわずかの差でヒューレット・パッカードを抜き、エイサーが19.4%のシェアを獲得した |
「Acer Clear.fi」は"ホーム・クラウド"などと称されていたが、簡単にデジタルコンテンツをシェアする仕組みを表している。
異なる種類であったり異なるプラットフォームであったりするデバイス群がシームレスにつながり、統一されたインタフェースでさまざまなコンテンツが楽しめる……。本イベントでは、そうしたホームネットワークを実現する多様なプロダクツがお披露目された。
マルチメディア管理デバイス「Acer Revo」はリビングルームにおける中心的な役割を担う。これはキーボード入力が可能なワイヤレスタッチパッド「RevoPad」を使って手軽に操作が行え、ネットワーク上のさまざまなデバイスから動画、写真、音楽などにアクセスできる。また、デジタルコンテンツプレイヤー「Acer RevoView」や、DLNAに対応したデータ貯蔵庫「Acer RevoCenter」も登場。さらにPCはもちろんスマートフォンまでリビングに対応していくことになるとのことだ。
これらはただつながるだけではなく、デバイス機器という垣根を越えた共通のインタフェースでデータを扱えるのがポイントである。セットアップが簡単で、コンテンツが見つけやすく、共有が手軽に行え、拡張もイージーという4つの指針をベースとしたソフトウェアにより、さまざまなデバイス内に保存されたデータを多様な機器で楽しめるようになる。いまのところ詳細なスペックや、価格、日本で展開される時期などは不明だが、リビングという場がエイサーにとって差別化を行う大きなスタートラインとなるのは間違いない。