おわりに

さすがは、GPUメーカーの強豪同士、今回の勝負も実に見応えがあった。

GPGPUを意識しつつも、3Dグラフィックスレンダリングをあくまで重視し続けるATI Radeon HD 58x0に対し、GPGPUに重きを置いたデザインを起きつつも贅沢なアーキテクチャで3DグラフィックスもGPGPUも両方カバーする意地を見せたNVIDIA GeForce GTX 4x0。両社の戦いは、こんな感じでまとめることができるのではないだろうか。

3Dグラフィックスに関しては、DirectX 11テッセレーションへの対応を果たすが積極活用は想定しないATI Radeon HD 58x0と、このテクノロジを次世代主流技術に育て上げたいNVIDIA GeForce GTX 4x0。この点についても姿勢の違いが出ていて面白い。もともとDirectX 11で採用されたテッセレーション技術は、ATIが基盤技術を作り上げたものを標準化したと言われているが、これをNVIDIA側がATIよりも積極的にサポートするというのはなんとも不思議な事態だ。

さて、本稿では新アーキテクチャの最上位アーキテクチャの話題に終始したが、今後、両社のミドルクラス、ローエンドクラス、そしてモバイルクラス(ノートPC向けGPU)の展開についても注目していかなければならないだろう。

冒頭付近でも述べたように、ATIはRadeon HD 5000アーキテクチャで、デスクトップPC向けはローエンドからハイエンド、そしてモバイル製品までを網羅してしまったが、NVIDIAはまだデスクトップPC向けのハイエンド製品がやっと市場に出回ったというレベル。

DirectX 11世代GPUのスタンダードは、現状、ATI優勢であることは否めない。2010年後期においては、NVIDIAがこの出遅れた分を、どのようなダッシュ戦略で巻き返すのか……に視線が集まることだろう。

(トライゼット西川善司)