インテリジェントネットワーク技術

山本社長は、「実践知」の実現にはビジネスモデル化が不可欠であるという認識を示し、そのために必要とされる要素として、4つの具体的な技術を紹介した。その1つがセンサーとネットワークを融合した「インテリジェントネットワーク技術」である。
これは「WisReed」と呼ばれるアドホック通信技術とセンサーミドルウェア技術によって構成され、ICTが自律的かつ正確かつタイムリーに、必要とされるアクションやサービスを実行できるようにする仕組み。防災や省エネなど、社会活動における「検知」「伝達」「収集・活用」といったプロセスの実現を可能にする。

インテリジェントネットワーク技術

ハイパフォーマンスコンピューティング

山本社長によると、10ペタFLOPSの処理性能目標を掲げ、同社が理化学研究所と共同研究を行っている次世代スーパーコンピュータによるハイパフォーマンスコンピューティングも「実践知」のビジネスモデル化には不可欠だという。同氏は講演の中で心臓の細胞(約66万個)のリアルな動きを3D画像で再現するデモを披露し、現段階におけるその性能をアピール。「このような技術で産業界が元気になることを願う」と語った。

ハイパフォーマンスコンピューティングのデモ

リスクマイニング

さらに山本社長は、ICTの活用によって事故やトラブルの発生を防ぐための技術「リスクマイニング」を紹介。これは、大量の定型情報と非定型情報を活用してリスク要因を分析・評価するもの。具体的には日報などでのトラブルに関するレポートがその基になるが、これは先述の「膨大なデータを人にとって価値のあるものにする」を象徴的に具現化しているものといえるだろう。

リスクマイニング

大規模複合シミュレーション

また同講演では、気候変動の緩和や対策立案に貢献するとされる「大規模複合シミュレーション」についても紹介された。同社はロンドンのクランザム気候変動研究所と協力して「海洋モデル」を作成し、地球全体の炭素環境を分析しているとのことだが、この技術は経済産業省からも高く評価されているという。

大規模複合シミュレーション

山本社長は、「『Human Centric Intelligent Society』における『実践知』の活用には異業種の企業などとの連携が不可欠」とし、この連携が「新しいビジネス領域を創出する」と語った。講演ではとりわけ「自動車」を中心としたセンサーネットワークの活用例が紹介されたが、すでにカーナビゲーションシステムに日常的にお世話になっている我々にとっても、これはそう遠くない将来に到来するであろう車社会の姿として現実的に受け止められるものだ。

「実践知」の活用イメージ

最後に山本社長は、同社の経営方針における「3つの起点」(「お客様のお客様起点」「グローバル起点」「地球環境起点」)の取り組みを着実に実行すると強く語り、「豊かな社会を実現するための新たなビジネス創造には"ひらめき"がキーワードになってくる」と付け加えて講演を終えた。

富士通の経営方針における「3つの起点」