UQのエリア展開では、「これまでの携帯事業者に比べて、基地局の建設では最高スピードを出している」と田中社長。基地局の設置には、まずは建設場所を選定し、その土地のオーナーと交渉をし、設備の設計を行い、ほかの携帯基地局との干渉調査をする。ココまでで1~6カ月かかり、その後オーナーと賃貸契約を結び、総務省に電波申請を行う。これが1カ月。その後、実際に工事を実施して、光ファイバを接続する回線構築や試験を行い、ようやく電波を発射できるようになる。これが1~2週間。「オーナーがすんなり了解してくれれば、1カ月ぐらいで建設できる」(同)そうだ。

基地局の設置スピードは上がっており、これは都心部の基地局設置に時間が必要だったためで、今後は早急に基地局を設置していく考えだ。

基地局設置までの流れ

基地局設置の様子

屋外の基地局設置と同時並行で、屋内で利用できるような対策も進めていく。もともとUQ WiMAXが利用する2.5GHz帯の周波数帯は、屋内への電波の浸透が弱いため、ビルや地下街などで利用するためには、小型の基地局や屋内のレピーターを展開する必要がある。これは順次設置を行っていく考えだ。

Samsung製の屋内用基地局。屋外用の基地局と機能は同等だが、出力が小さい

こちらはレピーター。一方を窓際などの電波が入るところに置き、LAN回線でもう一方につなぎ、そこから電波を発射する仕組み

こちらは参考として展示されていた小型の基地局

同じく参考展示の小型の一体型レピーター。いずれも京セラ製

小型のレピーターと基地局のスペック

こちらは成田エクスプレス車内の案内板の中に設置されているレピーター。WiMAXの電波を受けて車内に無線LAN電波を送り、通信を行う。機器自体はWiMAXを受けてWiMAXの電波を車内に発射することも可能だ

基地局には、従来のSamsung Electronics製に加え、2月からNEC製の基地局を導入。複数メーカーの基地局を混在させても影響がなかったとのことで、混在させるのは「世界初ではないか」(同社)という。アンテナは都市部では3セクタ方式を採用。1つの基地局に3本のアンテナを立て、3方向に発射して360度の方向をカバーするやり方だ。郊外では1つのアンテナで360度をカバーするオムニ方式を採用しているそうだ。

従来から使われているSamsung製の屋外基地局。一番左上に光ファイバを接続、下段の左右にある部分から同軸ケーブルでアンテナに接続する。中央の3つの丸が並んでいる部分はLAN端子で、基地局を数珠つなぎに接続する際に使う

こちらは新しいNEC製。同じスペックで、混在だけでなく、既存基地局の置き換えも可能

アンテナ。3セクタ方式の3本のアンテナ。右側にあるのはGPSアンテナ

オムニ方式のアンテナ(細い2本の部分)。中央にあるのはGPSアンテナ。2本あるのはMIMOのため

3セクタ方式とオムニ方式の仕組み

実際の電波の状況。左の3セクタ方式は、丸の部分が基地局で、3方向に電波が出ている。一部空白の白い部分があるのは、「ビルなどの障害物の谷間」(同社)。1つの基地局で出ている電波の距離は400m程度。右はオムニ方式で、1つの基地局から出る電波が1kmほどと長くなっている