ポインティングデバイスもFnキーの原理で、クリックボタンと対の位置に置いた。しかし、ここでデザインチームと激しい議論が発生したという。「デザインの観点からすれば、ポインティングデバイスはキーボードの中心にあったほうが美しいんですよ。だけど、それでは立って使うときに扱いづらい。とはいえ、デザイナーさんもキーボード面の左右に置くのは見た目的にどうかと主張してきて、けっこうケンカしましたね。立って使えないならVAIO Pと一緒になっちゃう。それだけは駄目なので、こちらの主張を通しました」(小林氏)

ここで、小林氏自らVAIO Pについて触れたのが興味深い。LOOX Uの"Real Pocket size PC"というコンセプトからも、「本当にポケットに入るPCですよ」という意味が読み取れる。これは、パンツの後ろに半身を入れたライバル機のポスターを意識したメッセージではないだろうか。その疑問に対して、小中氏は「あちらは机上での操作、こっちは机上と立って操作することを想定しています。似てはいますがコンセプトが違うんですよね。VAIO Pが登場したのも、今のLOOX Uのカタチが決まったあとでしたから、特に影響はなかったと思います」と説明する。小林氏は、別の観点から開発されたのに市場で同一視されるのを避けたかったわけだ。

元の流れに戻ろう。LOOX Uはタッチパネル操作に対応しているが、付属のスタイラスペンをストラップのように外付けにして持ち運ぶ構造となっている。本体に収納できなかったのだろうか。飯島氏によると、そもそもスタイラスペンを付属する予定がなかったらしい。指で操作できるようにアイコンを大きくする「ゆったり設定」などを搭載しているが、「北米で先行発表したときに、あちらの方々から『それでも指じゃ押せないよ』という声をいただいて、急遽追加したんです。すでに筐体が出来上がっていた時期なので、現在のようなスタイルで行かせてもらいました」とのこと。ホントあちらはアメリカンサイズだぜ! フゥハハハーハァーということかどうかはあえて触れないが、とにかく指だけでの操作でも快適に使えるように設計していることは確かだ。

そのほか、この写真のように堅牢性にも注力している。耐200kg荷重試験をクリアしたほか、同社のA4ノートなどと同レベルで一点加圧の強度もあるという