富士通の「F-04B」は、ディスプレイとキーボードが分離・合体する、世界初の「セパレートスタイル」を採用したハイスペックな1台。上下のパーツを切り離しても操作できる斬新なギミックが、ユーザーから注目されている。
とは言え、この仕掛けは単なる”にぎやかし”ではなく、利用シーンに端末を柔軟に対応させたいという思いが込められている。ヨコモーションで高速通信時代のケータイを模索してきた富士通ならではの、新たなチャレンジと言えるだろう。そんなF-04Bの開発秘話を、富士通のモバイルフォン事業本部の古木健悦氏、井上直幸氏、北田康幸氏の3名に聞いた。
左からモバイルフォン事業本部 先行開発統括部 プロジェクト部長 井上直幸氏、同本部 マーケティング統括部 第二プロダクトマーケティング部 課長 古木健悦氏、同本部 マーケティング統括部 セールスプロモーション部 Rチーム リーダー 北田康幸氏 |
大反響を巻き起こしたセパレートケータイ
ドコモの発表会でもっとも注目されていたF-04Bだが、端末が2つに分かれるという前代未聞のスタイルゆえに、商品化にあたっては、富士通社内でも意見が分かれたという。井上氏は「社内では製品にならないのでは? との声もかなりありました」と明かす。ただ、 F-04BのコンセプトモデルをCEATECに出展した際の反響が、あまりにも大きかった。こうした声の後押しを受ける形で、F-04Aの開発がスタートした。
もちろん、製品化にあたっては、コンセプトモデルからの変更もある。最大の違いは、端末の合体方法。コンセプトでは、マグネットで分離でき、縦横両方に合体できたが、「両手での作業が発生してしまい、逆に操作しづらくなってしまいます」(古木氏)という理由から、現在のようなスライドタイプに落ち着いた。また、「落としそう、外れそうという感想もあり、マグネット接続をやめ、カチっとはめ込むタイプにしました」(古木氏)という。
さらに、北田氏は「確かに最初は技術のアピールという目的もありました。しかし、実際に出展してみると、通話中にネットやメールを見ることができるのは便利というコメントが相当多かった」と話す。実際、F-04Bは通常のケータイにはないメリットが多い。北田氏は次のように説明する。