スペシャルイベントで「iPad」を発表したSteve Jobs氏は自信に満ちあふれてた。発表後の様々な報道をチェックすると、「予想されていた通り」とか、「サプライズに乏しい」というような反応が多々見られる。だが、そうした反応もAppleの想定内であったようだ。キーノートでiPadのデモを披露した後にJobs氏は「ただ見ているだけでは何もしていないに等しい。ぜひともiPadを手にして自分の指先で体験してほしい」と釘を刺した。いつもならキーノート・スピーチで発表製品に魔法をかけるJobs氏が、iPadの魔法のような利用体験は自身のキーノートを上回ると言っているのだ。

発表会場となったYerba Buena Center for the Arts

会場にはApple取締役のAl Gore元副大統領の姿も

iPadを取り出したSteve Jobs氏。今回は封筒から出すというような演出はなく、壇上に置かれたサイドテーブルから持ってきた

IPadのキャッチコピーは「Appleの最先端のテクノロジ」「魔法のような革新的なデバイス」

この日の最大のサプライズは、講演の最後に発表されたiPadの価格だった。まず、スクリーンに「$999」という金額が現れた。IT業界記者やアナリストなど、専門家の事前予想の多くが「1,000ドルをわずかに下回る程度」だったからだ。「多くの人に使ってもらえるように、われわれはアグレッシブな価格に設定した。技術的な目標を乗り越えたのと同じ様に、われわれはコスト目標もクリアした。このiPadの価格を発表できる瞬間にスリルを感じている」とJobs氏が語った後、スクリーンに「$499」という数字が落ちてきた。

発表会前の予想では1,000ドルを少し下回る程度という価格予想が多く、700ドルを下回らないと消費者は動かないというアンケート結果も出ていた

「$499」という数字が現れると、会場からは大きな歓声がわき上がった

iPadの紹介ビデオで製品マーケティング担当SVPのPhil Schiller氏は「iPadを設計する上で"手頃な価格"は最も重要なポイントだった。最新技術は最初に高い価格帯の製品に投入され、時間と共に手頃な価格帯へと広がっていく。われわれは、そうした方法を変えて、多くの人に最初から届けたかった」と述べている。

Wi-FiモデルとWi-Fi+3Gモデル。それぞれストレージ容量が異なる3モデルが用意される

この製品投入はギャンブルである。おそらくJobs氏の言うコスト目標クリアはiPadがヒットしてこそだ。iPhoneやiPod、ノート型Macの売上げが好調に伸びているという保険があるものの、iPadという製品に自信がなければ、こうした攻めの製品リリースは行えない。

Wi-Fiモデルは60日以内(3月下旬)に世界発売