一方、パートナーに対する技術支援策として、全世界で、「マイクロソフト支援技術ベンダープログラム(Microsoft Assistive Technology Vendor Program=MATvp)」制度を用意しており、OSの開発段階からマイクロソフトが技術情報の提供や技術支援を行っている。

日本においては、Windows Vistaの際には、9社の企業、団体に対して技術支援を行い、OSの発売と同時に2社が対応アクセシビリテイ製品を発売したが、Windows 7では25の企業、団体に対して技術提供を行い、Windows 7の発売と同時に7社が対応アクセシビリティ製品を発売。年内には12社が対応製品を発売することになっている。

マイクロソフトが技術を提供した支援技術開発パートナー25社

Windows 7の発売と同時に7社から対応アクセシビリティ製品が投入される

そのうちの1社である日立製作所新事業開発本部アクセシビリティ推進グループの小澤邦昭氏は、「当社は1997年からベッドの上からメールやインターネットなどのコミュニケーションに活用できる意思伝達装置『伝の心(でんのしん)』を製品化しており、現在、Windows 7対応版を開発中。来年早い時期の発売を予定している。開発段階で、メニュー表示がうまくいかないことがあったが、米本社からサンプルプログラムを提供してもらい、解決することができた」として、MATvpプログラムが、開発途中における問題解決に寄与していることを紹介した。

日立製作所新事業開発本部アクセシビリティ推進グループの小澤邦昭氏

日立製作所の意思伝達装置「伝の心」

パートナー各社が展示したアクセシビリティ対応製品

会見では日立製作所をはじめ4社のアクセシビリティ対応製品を展示し、製品の幅が広がっていることを示した。

一方、マイクロソフトでは、パートナーとの連携により、ハンズオンセミナーを17日から順次実施しているほか、音声読み上げソフト「ナレーター」機能を利用できる日本語音声合成エンジンを、視角障碍者をサポートを行う人および視覚に障碍がある人に対して、数量限定で無料提供する。さらに、視覚障碍があり、音声読み上げソフトのみでWindows 7を利用するユーザー向けに、視覚障碍者向けWindows 7簡易マニュアルを、Webを通じて無償で提供する。

「マイクロソフトのミッションは、世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すことにある。アクセシビリティという観点からも使う人が広がることになる。また、今後は、Windows 7に搭載したセンサーAPIを新たなデバイスに活用したり、マイクロソフトリチーサで研究しているナチュラルリサーチも、将来的にはWindowsに採用されていくことになるだろう」(マイクロソフト・加治佐氏)とした。

マイクロソフトでは、これまでにも産官学連携によって、大学においても障碍者が学習できる場を提供する仕組みづくりとして、人材育成プログラムであるアクセシビリティリーダー育成協議会に取り組んだり、障碍がある高校生の大学体験プログラム「DO-IT Japan」により、大学受験のルールを障碍者にも対応できるように変更したりといった取り組みを行ってきた。

マイクロソフトコマーシャルWindows本部・中川哲本部長

「この1年で障碍者の大学進学は15%増加し、全学生の0.2%を占めた。だが、米国では11%に達しており、大きな開きがある。見方を変えれば、ポテンシャルがあるということでもある。パートナーと一緒にアクセシビリティへの取り組みを加速していきたい」とした。

なお、マイクロソフトコマーシャルWindows本部・中川哲本部長は、最新情報として、19日時点でのWindows 7対応の全周辺機器が50社4141製品、また対応する全ソフトウェアが163社1622製品に達していることを紹介し、「80%以上を大きく超える企業が対応し、Windows Vista発売時に比べて、2.5倍の対応製品数に達している」とした。

スカイフィッシュの画面情報読み上げソフトウェア「Focus Talk」

JOHNANのマルチタッチ機能を活用したぽんぽんらんど。幼児向けにも楽しい製品だ

テクノツールのあいうえおキーボード。配列が50音順であり、丸く穴が開いた形状は、手の震えがある人でもキーが押せるようになっている