米Appleは10月15日(現地時間)、開発者らに対して送付したメールの中で、iPhoneの無料アプリでの"アプリ内課金(in-app purchase)"を許可すると発表した。米Wiredなどが同日に報じている。これによって開発者はプロモーション用に無料アプリを提供し、ゲームなどにおけるアイテム追加や雑誌のオンライン購読サービスでのサブスクリプション設定など、有料コンテンツ提供に新たなバリエーションが増えることになる。

従来有料アプリでのアプリ内課金は可能だったが、今回Appleはさらに無料アプリからの課金も可能にした。これにより、例えば次のような奇妙な現象が解決できる。Wiredは9月に、Scarabと呼ばれるデジタル文芸雑誌がアプリ本体を1ドル、雑誌本体1冊ごとに3ドルを課金するサービスの提供開始を報じている。本来であれば雑誌購読のためのアプリ本体は無料でも問題ないのだが、1ドルの価格設定が行われているのはAppleの制限回避のためだ。こうした現象を避け、アプリ課金の柔軟性を向上させるのが狙いとなる。

Freemiumという言葉があるように、無料アプリの存在はサービス利用の呼び水となる。これをきっかけに課金のチャンスを増やすことが無料製品前提の時代の常套手段だ。一方でこれまでのApp StoreとiPhoneアプリの組み合わせは、Facebookなどのミニアプリと比較しても利益率が低いと言われており、その理由の1つが課金システムの制限だという指摘もある。