ITU Telecom World 2009 - 各国の事業者やメーカーがWiMAX関連技術を出展

日本では今年7月からUQコミュニケーションズによるWiMAXサービスが開始されたが、海外でも各国でWiMAXサービスの開始が相次いでいる。本展示会では業界団体であるWiMAX Forumがブースを設置しており、事業者や端末・インフラメーカーがミニブースを構えてサービスや製品の展示を行っていた。また各国のブースでもWiMAXの事業展開を行っている事業者が出展していた。

ロシアのYota、WiMAX/GSMデュアル端末などを展示

ロシアの3都市でWiMAXサービスを展開しているYotaはサービス内容の紹介や販売中の端末の展示を行っていた。同社は2008年11に無料の試験サービスを開始。2009年6月より有料サービスに切り替え、現在の顧客数は約20万人とのこと。データ通信サービスだけではなく5万曲を提供する音楽配信「Yota Music」、ビデオ・オン・デマンドで好きなときに動画を視聴できる「Yota Video」、ストリーミング放送の「Yota TV」などマルチメディアコンテンツサービスも提供している。

端末はPC用のUSB/Expressカード型データ端末や家庭用のCPE、変り種ではWi-Fiを内蔵し複数のデバイスから同時にWiMAX回線へアクセスできるWi-Fiルーターなどを展示していた。また業界初となるWiMAXと携帯電話のGSMのデュアルモードに対応したスマートフォン「HTC 4G MAX」はロシア国内で音声通話が利用できるだけではなく、海外渡航の多いビジネス層にとっても「ロシアのWiMAXカバーエリアでは高速データ通信、海外では現地のGSM回線を使ってローミングデータ通信」と国内外でシームレスに利用できる点の評価が高いとのこと。

台湾メーカーやSamsungがWiMAX端末を多数展示

WiMAX Forumブース内には台湾の展示コーナーとして、台湾政府関連機関などが自国メーカーのWiMAX端末を並べて展示、WiMAX導入を考える事業者などに売り込みをかけていた。台湾は国を上げてWiMAXの普及に取り組んでいることもあり、端末メーカーの数も製品化された端末の数も多い。特にOEMメーカーが多いことから事業者向けに自由なカスタマイズを提供できるという。

Elitegroupは携帯電話スタイルの音声端末を展示。VoIP利用で携帯電話のような使い勝手を実現できるという。大型のフルタッチディスプレイを搭載した端末はAndroid OSを採用、WiMAX/GSMデュアルモードに対応する。どちらも年内に製品化され海外のWiMAX事業者から販売される予定。またMediatekのタッチパネル端末やQuantaなどのデータ通信端末など、様々なバリエーションの製品が展示されていた。

Samsungブースは通常の展示会に見られる携帯電話の展示ではなく、商談コーナーが大半で残りはWiMAXソリューションやIP電話などの展示が中心であった。WiMAX端末は韓国や海外で発売中のコンシューマー向け全製品を並べるなど、WiMAXに強いSamsungを大きくアピールしていた。

マレーシアやサウジアラビアでもサービス

このほか、WiMAX事業者としてマレーシアブースではP1、サウジアラビアブースではMobilyが製品やサービスの説明を行っていた。P1の説明員によると「マレーシアではすでに携帯事業者がHSPAサービスを行っているがWiMAXはHSPAよりも低コストで高速データ通信を実現できる」とのこと。Mobilyの説明員は「中東では積極的な通信インフラの投資が進んでおり、新しい技術は先進国と同じ速度で導入していきたい。WiMAXもその1つだ」とWiMAXの先進性を評価していた。WiMAXはコスト面やLTEより早く実用化された高速データ通信環境であることから、先進国以外にも今後採用が進みそうである。