データベース(DB)ツール「FileMaker」を開発しているファイルメーカーは、個人向けにDBツール「Bento 2」を提供している。5月には、Bento 2と連携できる「Bento for iPhone and iPod touch(以下、Bento for iPhone)」もリリースした。ファイルメーカー 代表取締役社長の粟倉豊氏は、このアプリを「DBの敷居を下げて、ユーザーの裾野を広げるツール」と位置づける。今回、Bento for iPhoneの国内展開について粟倉社長に話しを聞いた。

2009年2月1日付けでファイルメーカー代表取締役社長に就任した粟倉豊(あわくらゆたか)氏。同社の経営トップとしてFileMaker Pro製品ラインおよびパーソナルデータベースBentoの日本市場におけるセールスマーケティング全般を統括。同時に、米ファイルメーカーにおいて日本担当のバイス プレジデントも兼任する

FileMakerは、もともとは個人利用や数人規模の情報共有のツールとして登場したが、現在は中・大規模での利用も可能なデータベースソフトウェア(以下DB)としてMac版だけでなくWindows版も広く利用されている。これに対し、2008年1月に米国で発売されたBentoは、個人向けのDBとして開発された製品だ。

この背景について粟倉社長は、「個人向けの戦略を考えた」と説明する。DBと聞くと大規模なシステムと身構えてしまうユーザーもおり、またFileMaker自体の単価も60,900円(FileMaker Pro 10 Advancedの同社直販価格)と、個人ユーザーが気軽に利用できる値段ではない。そこで登場したBentoは直販価格で5,040円と、個人ユーザーの手が届きやすい価格に設定されている。

FileMaker Pro 10 Advanced。FileMakerは、ワークグループや組織の生産性向上に役立つようデザインされている。カスタマイズツールを使って柔軟なデータベースを作成できる

Bento 2。Bentoは、個人の作業効率を向上できるようにデザインされている。初期設定の状態で、直感的にデータベースを作成可能だ

個人ユーザーが手を出しにくいと感じている理由は価格だけではなく、"どう使っていいか分からない"という敷居の高さがある。こうしたDBは自分で一から作成するため、用途は無限に広がるが、その分、「多機能であっても操作が複雑なのではないか?」と感じてしまいがちだ。

こういった"敷居の高さ"を感じさせないDBとしてBentoは登場した。Bentoには、利用シーンをイメージしやすい"直感的に選択できる"テンプレートが多数用意されており、初めてDBを導入するユーザーにも使いやすいよう配慮されている。また、Macのファイルやアドレスブック、iCal、iPhotoといったデータとの連携機能も備えており、テンプレートを改良すれば、自分の用途に応じたDBが簡単に作成可能だ。