消費電力

さて、ここまではD-Steppingの演算性能への影響を見てきたが、本来のD-Steppingの大きな特徴は省電力化である。すでにD-Steppingを使ってのオーバークロック動作の確認なども行われているが、ここではもう少し具体的な数値でこのヘッドルームを確認してみたいと思う。

消費電力はおなじみワットメーター、及びEPS12Vの12V 4×2コネクタラインにクランプメータを使っての電力測定を行った。で、この消費電力のみ、

C-Stepping : 2.66GHz/2.8GHz/2.93GHz/3.06GHz/3.2GHz
D-Stepping : 2.66GHz/2.8GHz/2.93GHz/3.06GHz/3.2GHz/3.33GHz

の各周波数で測定を行った。これにより、動作周波数と消費電力の関係が見やすくなると思われるためだ。ちなみに動作周波数に併せてTurbo Boostの1bin/2binの設定値も連動してあげているほか、3.2GHz/3.33GHzについてはQPIも6.4GT/sec動作(3.06GHz以下は4.8GT/sec)にしている。この結果、3.06GT/secを境に多少グラフの傾きが変化することが予想される。

テスト項目は(これも時間の関係で)、

・Windows Vista起動後の待機状態(動作モードはPower Save)
・Windows Vista起動後の待機状態(動作モードはHigh Performance)
・Sandra 2009のArithmetic Benchmark実行時
・Sandra 2009のCache & Memory Benchmark実行時

に絞った。ということで、結果を順に見てみよう。

まずグラフ37・38はそれぞれPower Save/High Performanceモードの消費電力をワットメーターで測定したものだ。2.66GHzの場合にC-Steppingでやや消費電力が多いのは、Windows Vistaが(一見動いていないように見えても)陰で何か動かしているために、その分が若干あがっているのでは無いかと思われる。また3.1GHzを超えるとやはり消費電力が多少上がるのはQPIの転送速度の関係だと思うが、C-Steppingが3Wほど上がっているのに対し、D-Steppingは1Wのアップに留まっているのは興味深い。ただ、いずれにせよPower SaveとHigh Performanceは明確に消費電力の差が存在する。

一方12Vラインで測定すると、これはグラフ39の様な結果となる。概ね25秒前後で動作モードを切り替えているのだが、この結果として後半にはややスパイクが見られるとはいえ、殆ど動作周波数や動作モードに無関係となっている。この50秒間の平均値をプロットしたのがグラフ40であるが。C-Steppingがやや低いのは面白い傾向と言える。

それにしても、CPUの実質的な消費電力は3~4W(以前説明した通り、これはあくまでCoreの部分で、UnCoreはまた別だろうと思われるが)でしかない訳で、グラフ37・38の大半はGPUなのであろう。