写真の日である6月1日、都内にて「カメラグランプリ2009」の表彰式が開催された。会場では、キヤノンをはじめとする受賞メーカーが駆けつけ、開発の苦労話や受賞の喜びを語った。
カメラグランプリは、日本国内の写真・カメラ専門誌13誌(2009年5月現在)の記者で構成されるカメラ記者クラブが主催する賞。今回、カメラグランプリ2009の「大賞」には、キヤノン「EOS 5D MarkII」が選出された。また、一般ユーザーの投票によって決定する「あなたが選ぶベストカメラ大賞」に、ニコン「D700」が、先進性・大衆性・話題性の観点で選ぶ「カメラ記者クラブ賞」に、カシオ計算機「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」とパナソニック「LUMIX DMC-G1」の2機種が選ばれた。なお、選考対象は、2008年4月1日から2009年3月31日までの一年間に日本国内で新発売されたスチルカメラとなる。
大賞:キヤノン「EOS 5D MarkII」
まず、大賞を受賞したキヤノン 代表取締役社長 内田恒二氏が登壇した。EOS 5D MarkIIは、有効2110万画素フルサイズCMOSセンサーや、EOSシリーズでは初となるフルHD動画撮影機能を搭載。「フラッグシップモデルに勝るとも劣らない各種機能をアマチュアカメラマンでも手の届く価格に抑え、フルサイズ時代の幕開けともいえるデジタル一眼レフカメラ」と評された。内田氏は「『EOS 5D』に寄せられた多くのユーザーの声を盛り込んだのがEOS 5D MarkII。受賞理由は、特に力を入れて開発したところを高く評価していただけて嬉しいです」と喜びの表情を見せていた。また、キヤノンの大賞受賞は「EOS-1Ds」以来、5年ぶり8回目となり、「キヤノン一眼レフカメラ発売から50周年を迎える今年に受賞できたことは大変嬉しいです。カメラ文化の発展に少しでも役立つように努力していきたい」と語っていた。
さらに、キヤノン イメージコミュニケーション事業本部 カメラ事業部 副事業部長 兼 カメラ開発センター所長 新堀謙一氏は「フルHD動画と"瞬間を切り取る最高画質の絵を撮る"ことを両立させるため、多くの新技術を生み出さなければならず、リスクの高い商品でした。妥協を許さないでどこまでのぼり詰められるか、感動を与えるような一眼レフをつくり続けたいという想いがありました」とEOS 5D MarkII誕生までを振り返った。EOS 5D MarkII製品の詳細はこちら。
あなたが選ぶベストカメラ大賞:ニコン「D700」
「あなたが選ぶベストカメラ大賞」を昨年にひき続き受賞したニコン。登壇したニコン 執行役員 映像カンパニー 開発本部 本部長 風見一之氏は、「D700は、『D3』のようなカメラをより多くの方に使ってもらいたいと、小型・軽量化し、価格を抑えたモデル。そのカメラが一般の方々からの投票で選ばれたということは、私たちの開発意図がご理解いただけたということで嬉しいです」とコメント。また、今回受賞した4モデルを見渡し、「カメラの可能性はさらに広がってきたと思います。景気の悪い中でも、新しいものや使い方を提案することで写真業界もさらに発展していくのではないかと思います」と語り、「できれば常連のようにこの場に立って挨拶できれば嬉しいです」とまとめていた。
D700開発に際しては、「"コストダウン"を追求しました。D700クラスでは今までになかった、部品調達を海外に委ねるという、挑戦をしました」とニコン 映像カンパニー 開発本部 第一設計部 第三設計課 マネージャー 原正治氏。「コストダウンをしたと言っても高いカメラですが…」と前置きしながらも、「高感度撮影をより身近にした」「フルサイズでは最もオールマイティに使える万能機」などといった寄せられたユーザーの声に手ごたえを感じているようだった。D700製品の詳細はこちら。
カメラ記者クラブ賞:カシオ「EX-FC100」・パナソニック「LUMIX DMC-G1」
一方、秒30コマという高速連写と最大1000fpsのハイスピードムービーをエントリーモデルとして実現させ、「ハイスピード写真文化の大衆化を担う象徴的な存在となった」と評されたEX-FC100。開発メーカーであるカシオ計算機 常務取締役 QV事業部長 高島進氏は、「ハイスピードカメラ第3弾であるEX-FC100は、より多くの人々に新しい感動を体験できる機会を提供したいという想いから生まれました。コンパクトな筐体の中にハイスピード技術を詰め込み、スローモーションビューなどのわかりやすく高速連写を体験していただく機能を盛り込みました」とコメント。今回の受賞は、「カシオの"新しい商品をつくっていく"というものづくりの精神を評価していただけたのだと思います。今後も従来の発想にとらわれない、独創的なものづくりに取り組んでいきたいです」と同社の"ものづくり"へのこだわりを示した。
さらに、カシオ計算機 QV事業部 開発統轄部長 中山仁氏は、「カシオでは"次世代のカメラにはハイスピード機能が盛り込まれている"と確信しています」と断言。1995年に発売した液晶付きデジタルカメラ「QV-10」、そして薄型コンパクトカメラのジャンルを築いた「EX-S1」に続く第3世代のデジタルカメラとして、「EX-FC100が、エポックメイキングになったと言ってもらえるようにしたいです」と話していた。EX-FC100製品の詳細はこちら。
また、同じくカメラ記者クラブ賞を受賞した、パナソニック AVCネットワークス 上席副社長 ネットワーク事業部グループ 事業グループ長 吉田守氏は、デジカメ業界において"後発"ながら「ライブビュー」や「おまかせiA」機能など「使いやすさ」にこだわってきたという同社の事業展開を説明。マイクロフォーサーズのデジタル一眼として注目を集めたLUMIX DMC-G1では「ミラーレス構造を新たに採用し、色展開やCMキャラクターに樋口可南子さんを起用するなど、"新しいユーザーに一眼を"という想いで取り組んできました。今日はそれを評価していただけました」と笑顔を見せた。
パナソニック AVCネットワークス ネットワーク事業グループ DSCビジネスユニット ビジネスユニット長 松本時和氏 |
"世界初"のレンズ交換式ライブビュー専用デジタル一眼カメラ「LUMIX DMC-G1」 |
また、パナソニック AVCネットワークス ネットワーク事業グループ DSCビジネスユニット ビジネスユニット長 松本時和氏は、「ミラーを外すということは、構造が全く違ってくるということ。日程もきつく苦労しました」と開発時を振り返りつつも、「こだわったのは、ファインダーとオートフォーカスのスピード。試作機が出来上がったときに、ファインダーの美しさとオートフォーカスの完成度に全員で感動しました」と"成功を確信していた"開発の裏話を披露していた。LUMIX DMC-G1製品の詳細はこちら。