Press Sessionから

Photo07: 背広姿なのがNECエレクトロニクスの友田嘉幸氏(第二SoC事業本部 SoCシステム事業部 USBシステムグループ グループマネージャ)、赤いシャツがTIのScott Kim氏(Business Development,CIS Systems,HPA-ICP)

続いて行われたPress Sessionでは基調講演の両氏に加え、NECエレクトロニクスの友田嘉幸氏とTIのScott Kim氏も参加し(Photo07)、質疑応答を交えて色々な話が出てきたので、これもかいつまんでご報告したい。

  • USB-IFとしては、USB 3.0への関心が高まっている事を喜んでおり、かつPIL(Platform Integration Lab)の予約がすでに6月分まで一杯になっていることを報告すると共に、開発者にはなるべく早くPILを使うことで相互接続性を確保する事を期待しており、この事を広く開発者に知らしめたいと希望している(Photo08)。またエンドユーザーについては、USB 3.0のコネクタとケーブルは(USB 1.1/2.0への下位互換性は保っているが)、全く同じものではない。特にケーブルに関しては新しいものが必要であるということを早い時期に理解してほしいとした(Photo09)

Photo08: USBのSpecificationそのものは、USB-IFのサイトから入手可能となっている。ちなみにPILでは、ハードウェアとしては先に述べた通りNEC ElectronicsやFresco Logic、PLDAなどのHost ControllerとFujitsu/TI/Lucida PortなどのDeviceが用意されており、またソフトウェア検証にはWindows 7をベースにWLK 1.4などが移植されているとの事だ。

Photo09: これはSecond Opinionでも書いているが、USB 2.0 Cableを使うとUSB 3.0の配線が入っていないのでシステムとしてはUSB 2.0で動作することになる。このため、HostとDevice、Cableの全てを3.0対応にする必要がある。USB 1.1→2.0でも似たような話はあったが、こちらは現実問題としてコネクタも同一だし、しばしばUSB 1.1対応のCableでUSB 2.0が動いてしまったりした。実際ベンダーによっては、USB 1.1用のCableを"USB 2.0 Ready"とか書いて売ったりしていたケースもあった。こうしたことが繰り返されると、"USB 3.0にもかかわらず性能が出ない"などとユーザーが誤解してしまう事が予測されるため、割と神経質になっているようだ。

  • Microsoftは現時点ではWindows 7をターゲットにUSB 3.0の対応を進めている。ただし、最初のバージョンに関しては、USBのBase Driver(つまりXHCIのドライバ)はMicrosoftから供給されない(=Inbox Driverとして入ったり、あるいはWindows Update経由で配布したりしない)ため、Host Controllerを供給するベンダーからDriver CD-ROMなどの形で配布することになる。将来のVersion(例えばWindows 7のService Packなど)では、InboxあるいはWindows Update経由での配布になる予定との事。また、Windows 7で追加されるClass Driverに関しては、それらが必ずしもWindows XPやWindows Vistaで動作するとは限らないとの事。というのは、例えばBiometric Classについては、単にClass Driverのみならずこれを扱うためのOS側のFrameworkも必要となるが、Windows XPやWindows VistaではこうしたFrameworkはMicrosoftからは提供されないためだとの事。したがって、こうしたBiometric ClassをXPやVista上でサポートするサードパーティから提供される形になると思われるという返事だった。

ここからはちょっと余談だが、開発者向けのセッションの中で、Microsoftからはこんなものが示されている(Photo10)。VistaはまだしもWindows XPの場合、殆どのClass Driverを入れ替えないと満足にUSB 3.0が使えないという状況にあるようで、果たしてこれらのDriver UpdateをService PackなりWindows updateなりでMicrosoftが行ってくれるかはちょっと疑問が残るところだ。現実問題としてUSB 3.0を使いたければWindows 7を使え、という(かつてのWindows 98とWindows 98 Second Editionの様な)状況になるのかもしれない。

Photo10: これは初日午前中の"SuperSpeed USB Software Architecture"というセッション(講演者はFred Bhesania氏)のプレゼンテーションより。Windows XPの場合、InboxのClass DriverでUSB 3.0に対応しているのはHID Classのみというさびしい状況である。