G9の最大の特徴といえるのが、傾斜をつけて整然と並ぶ「スラントキー」だ。ここ最近、携帯メーカー各社がキーの改良に注力しているが、筆者としては「一見押しやすそうだが、実際は従来のキーとさほど変わらない」と感じることが多い。しかし、G9のキーは、デザインと操作感の両立に成功しているように思う。カチカチと(実際にはボタン確認音を消していれば小さくプチプチと鳴る程度だが)軽やかにキーを押すことができ、その"押し感"が非常に心地よいのだ。指先が自然な角度でキーに接するので無駄に力を入れずに済む、といった印象だ。

傾斜がついた「スラントキー」は心地よい"押し感"を得られる

ダイヤルキーにもかすかな傾斜がつけられている

ただし、キー操作には多少の慣れが必要だ。G9には多くの機種に採用されている十字キーがなく、5つの独立したボタンになっている。G9を実際に使い始めると、下方向のボタンを押すつもりがクリアキーを押してしまったり、左方向ボタンと右方向ボタンが離れているため、多少押しづらく感じることだろう。ただし、3日くらい使っていればブラインド操作ができるようになるので、さほど気にすることはなさそうだ。

クローズ時に使える12個のキーのうち、上の9個のキーは標準的な端末における十字キー+ソフトキーに相当する。再下段に通話キー / クリアキー / 電源キーが並ぶが、この3個のキーはアルミ素材を用いてカラーリングが施されている。この色分けによってユーザーの操作性も向上しているように思う。

端末本体をスライドするとダイヤルキーが現れる。スライド式のケータイは、このダイヤルキーが小さかったり、フラットすぎたりして、操作性を損ねることがあるのだが、G9ではダイヤルキーも個々が程よい大きさで傾斜もつけられているので文字入力も快適に行える。

オープン時にぜひ背面も見ていただきたい。スライドのための溝がなく、すっきりとデザインされている。しかも、スライド感はオープン時もクローズ時も非常になめらかだ。これはau向けソニー・エリクソン製モデルだけの特徴といえる。他メーカー製のスライド式モデルでは、溝のようなレール部があり、そこにホコリが付着してしまったり、上面と下面の隙間から金属ネジが見えたりすることがある。G9はデザインを売りにするモデルだけに、こうした細かい面へのこだわりも徹底している。

背面はモールドメッシュを施したマットな感触で、指紋が付きにくい

スライド部の背面に溝がなく、すっきりとデザインされている

新ブランド端末とはいえ、利用できる機能やサービスは従来のauモデルと変わらない。KCP+対応機なので、メニュー構造も他モデルと大差はない。しかし、au春モデルに比べるとキーレスポンスがよく、例えば、「EZwebを見ていて、それを終了して、カメラを起動して…」といった操作がストレスなくスピーディに行える。春モデルの中ではソニー・エリクソン製のS001が最も反応がよいように感じたが、このG9はさらに改善された印象を受ける。